2018 Fiscal Year Annual Research Report
小細胞肺癌におけるアムルビシン治療最適化のための効果予測因子の同定
Project/Area Number |
17K09632
|
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
藤原 豊 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 外来研究員 (70464261)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 和史 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 研究員 (50789708)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アムルビシン / 小細胞肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌におけるアムルビシン単剤療法による長期奏功例因子の探索のため、入手した手術検体10例の内、6例(長期奏功例 4例/無効例 2例)のDNA、RNAを抽出 し、次世代シークエンサーを用いた癌関連遺伝子127個のhot spot変異解析(NCC Oncopanel ver.4.0 [Agilent社])を行った。無効例の剖検検体1例から抽出した DNAは、その品質が解析に不十分であり除外されたため、長期奏功例1例、無効症例2例の手術検体を追加し、遺伝子変異解析を実施した。結果、両群で明らかに差のあ る遺伝子変異は認めなかった。遺伝子発現解析は、nCounter Analysis System® [Nanostring社]を用いて、小細胞肺癌の発がんやAMRの作用・代謝機構に関与すると考えられるmRNA 72種の候補遺伝子を選出し、実施した。解析結果からは長期奏功群では無効群と比較し遺伝子Aの発現レベルの低下を認めた。遺伝子Aは腫瘍の増殖やアポトーシスに関連する遺伝子であり、過去の報告より、発現レベルの低下している細胞ではアポトーシスがより起こりやすい可能性が考えられた。アポトーシスが起こりやすい状況下でDNA合成阻害剤であるアムルビシンが投与されることで、無効例と比較しより抗腫瘍効果が高い可能性が考えられた。最終年度は遺伝子Aの遺伝子経路を含むmRNA 220種の遺伝子発現解析を、同システムを用いて実施した。結果、遺伝子Aの発現レベルの差を確認し、さらに前回の72種の候補遺伝子には含まれなかった、別の遺伝子経路にある遺伝子Bに関しても発現レベルの差を認めた。遺伝子Bを含む遺伝子経路は、非小細胞肺癌において遺伝子Bのメチル化により、予後が大きく異なるこが報告されている。今後は遺伝子Bのメチル化の評価や、別検体を用いた遺伝子A,Bの遺伝子発現解析を検討している。
|