2018 Fiscal Year Research-status Report
Effect of epithelial mesenchymal transition on innate immune responses by airway epithelial cells
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17K09633
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Research Institution | Tokyo National Hospital (Clinical research) |
Principal Investigator |
大島 信治 独立行政法人国立病院機構東京病院(臨床研究部), 臨床研究部, アレルギー科医長 (10724023)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 / TGF-β1 / A549細胞 / CpG ODN / NFκB / MAPキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:重症喘息の不可逆的な病態であるリモデリングの発生機序の一つに、上皮間葉転換(EMT)の存在が示唆されている。一方、喘息を含む慢性呼吸器疾患の急性増悪を来す原因として、最も高頻度に認められるのは呼吸器感染症であるが、EMTと呼吸器感染症に対する自然免疫応答との関係を検討した報告は見当たらない。 目的:今年度は、気道上皮細胞がEMTを起こすことで、自然免疫応答によるサイトカイン産生応答が亢進する際の、シグナル経路を明らかにすることを目的とする。 方法:ヒト肺胞上皮細胞株(A549細胞)に、TGFを作用させEMTを誘導し、CpG ODNを作用させる際、細胞内の代表的MAPキナーゼ経路であるJNK、p38、ERK経路、またNFκBの関与について、阻害剤を用いて実験を行なった。 方法、結果、考察:JNK、p38 MAPK、MEK1/2に対する特異的阻害剤を使用して阻害実験を行ったところ、IL-6とMCP-1の産生はJNK経路の阻害で部分的に低下する傾向が見られ、p38経路の阻害で有意に低下したが、IL-8の産生はこれらの経路の阻害で抑制されず、ERK経路の阻害で部分的に低下する傾向が見られた。一方、NFκBの特異的阻害剤を使用し阻害実験を行ったところ、IL-6、IL-8、MCP-1の産生はいずれも添加により有意に抑制され、EMT誘導後CpG ODN刺激によるサイトカイン産生はNFκB依存的であると考えられた。 以上の結果から、TGF-β1はNF-κBを活性化しベースラインのサイトカイン産生を亢進させることが明らかになった。一方、CpG ODNの下流シグナルについては明らかにならず、IL-6、IL-8、MCP-1いずれの産生にも共通して関与するMAPキナーゼ経路は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroの実験が比較的順調に進み、進捗は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにTLRリガンドとしてLPS、CpGの効果を解明しているため、今後他のTLRリガンドに対する影響も明らかにし、サイトカイン産生のみならず、細胞増殖能や粘液、細胞外マトリックス産生能についても解析を進める予定である。 また、これまでEMTの誘導にはTGF-β1を用いているが、生体内では喫煙によるEMTの存在が報告されている。そのため、タバコ抽出液を用いてEMTを誘導し、同様の解析を行う予定とする。
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Causes of Carryover |
in vitro実験に必要な経費として、ほぼ計画通りに研究費を使用していたが、予想以上にデータが順調に揃ったため、未使用分が生じた。 しかしながら、次年度はin vitro実験ではあるものの、タバコ抽出液を用いたより費用のかかる実験を予定しており、また、成果をまとめて報告する予定であり、これまで以上に試薬その他経費が必要になる可能性があると考えている。 したがって、残金も試薬代等として、次年度に用いる予定としている。
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Research Products
(28 results)