2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of epithelial mesenchymal transition on innate immune responses by airway epithelial cells
Project/Area Number |
17K09633
|
Research Institution | Tokyo National Hospital (Clinical research) |
Principal Investigator |
大島 信治 独立行政法人国立病院機構東京病院(臨床研究部), 臨床研究部, アレルギー科医長 (10724023)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 上皮間葉転換 (EMT) / TGF-β1 / A549細胞 / CpG ODN / タバコ抽出液 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
背景:上皮間葉転換(EMT)と呼吸器感染症に対する自然免疫応答との関係を検討した報告は見当たらない。 目的:これまでに、ヒト肺胞上皮細胞株(A549細胞)にTGFを作用させEMTを誘導し、CpG ODNやLPSを作用させると、炎症性サイトカインの産生応答が亢進することを見出してきた。今年度は、気道上皮細胞がEMTを起こすことによるmRNA安定化作用の有無、およびタバコ抽出液でEMTを誘導した気道上皮細胞の炎症性サイトカインの産生応答を明らかにすることを目的とした。 方法と結果: まず、CpG ODNが炎症性サイトカイン産生を誘導する機序の一つとして、炎症性サイトカインのmRNA安定化が報告されているため、EMT誘導後のA549細胞における作用を検討した。TGFでEMT誘導したA549細胞にactinomycin Dを添加し転写を停止させた後、IL-6、IL-8、MCP-1のmRNA発現量を測定したところ、mRNAの継時的な減少はCpG ODNにより有意な影響を受けなかった。この結果から、EMT誘導後のA549細胞においてCpG ODNはmRNAの安定性に影響を与えないと考えられた。 また、TGFではなく、タバコ抽出液でEMTを誘導し、A549細胞のCpG ODN刺激に対するサイトカイン産生応答を解析した。タバコ抽出液により72時間刺激したところ、A549細胞は細胞極性の喪失、周囲細胞との接着の減弱、紡錘状の形態を示し、TGFによるEMT誘導時と同様の形態学的変化を示した。タバコ抽出液でEMT誘導したA549細胞を、CpG ODN で48時間刺激し培養上清中のIL-6、IL-8、MCP-1濃度を測定したところ、TGFによるEMT誘導時とは異なり、これらのサイトカインの有意な産生増強は認めなかった。
|