2018 Fiscal Year Research-status Report
免疫組織化学と元素分析による肺組織解析-職業性肺疾患の正しい病態理解のために-
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17K09635
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構西新潟中央病院(臨床研究部) |
Principal Investigator |
森山 寛史 独立行政法人国立病院機構西新潟中央病院(臨床研究部), 統括診療部, 呼吸器内科医師 (60463981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 俊範 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (40361919)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 元素分析 / 職業性肺疾患 / 微量分析装置 / 電子線 / 粉じん / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは生活環境や職業により様々な粉じんを吸入しています。吸入した粉じんは気道を通して一部は肺の奥に到達して、肺の組織内に沈着します。体の中で細胞が粉じんを処理できる能力を超えると、様々な変化をきたします。職業により粉じんを吸入しておこる肺の病気は、「職業性肺疾患」と呼ばれて、石綿(アスベスト)や珪肺のように社会的にも大きな問題になってきました。また災害により発生した粉じんは、地域住民の方にも震災関連の呼吸器疾患をおこしています。吸入した粉じんを元素レベルで分析同定することで、呼吸器疾患の解明に役立つ技術として、元素分析が行われてきました。画像診断で吸入により発症した肺の病気である可能性が指摘されると、その原因を究明する際に、肺の病理組織を検討することがあります。肺の組織を真空状態で特殊な分析機器にかけると、肺のどの部位にどんな元素が存在しているのかが明らかになります。さらに病理組織でどのような細胞が粉じんと関わりを持っているのか、元素と細胞を対比することで、その元素の生体肺組織への影響まで調べることもできます。我々は1990年から肺組織の元素分析を開始して、2010年にはインターネット上に職業性肺疾患の元素分析の依頼を受付ける「元素分析照会用フォーム」を構築して、国内外の一般医療機関・大学から、依頼のあった肺組織の元素分析を行ってきました。2018年度は国内および米国からの依頼のあった10件中9例の分析を終了して、超硬合金肺やインジウム肺など特殊な元素を同定しています。元素分析は臨床に直結する重要な技術であるとともに、各元素の生体への影響も同時に分析することが可能です。2019年度も引き続き分析を継続していく予定です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インターネット上の照会用フォームを通して、職業性肺疾患の元素分析症例が蓄積されています。元素分析は、依頼受け付けから、分析用切片作成、病理組織との対比、元素分析部位の決定、実際の元素分析、分析結果の確認と返信、という一連の作業に時間を要します。丁寧に分析、研究を継続しています。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は最終年度であることから、2017年度から行ってきた肺組織の元素分析を継続するとともに、行った分析の解析を進めていきます。
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Causes of Carryover |
物品にかかる費用が見込みよりも少なかったため次年度使用額が生じています。 翌年分と合わせて元素分析に必要な物品の補充と元素分析に関わる人件費に使用する予定です。
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Research Products
(3 results)