2018 Fiscal Year Research-status Report
気道上皮糖鎖修飾を標的とした難治性喘息新規治療機軸の開発
Project/Area Number |
17K09645
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣瀬 晃一 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (90400887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉地 智宏 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (20456015)
岩田 有史 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90436353)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 糖鎖修飾 / フコシル化 / フコース転移酵素 / Th2細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息は気道を場とした慢性アレルギー性炎症であり、好酸球性炎症、種々の刺激に対する気道過敏性、並びに粘液過剰分泌により特徴づけられる。この粘液の中にはムチンを始めとしたさまざまな糖蛋白質がふくまれ、また気道上皮細胞も複雑な糖鎖修飾が誘導されることが知られている。しかし、これらの糖鎖修飾が気管支喘息の病態において、如何なる働きを持つかは依然として不明である。 本研究ではアレルギー性気道炎症によって誘導される気道上皮糖鎖修飾を明らかにし、その病態における働きを解明することを目的とした。マウスにチリダニ抗原(HDM)を系気管支的に投与しアレルギー性気道炎症を惹起し、その気道上皮をレーザーマイクロダイセクション法により採取し、レクチンアレイを用いて解析した。その結果、HDM誘発性アレルギー性炎症によって気道上皮細胞にフコシル化が誘導されることが明らかになった。このフコシル化は気道上皮細胞に発現するフコース転移酵素(Fut)によって介在され、Th2細胞などが産生するIL-13によりFutは気道上皮細胞に誘導されることが明らかとなった。さらにFut欠損マウスでは気道上皮フコシル化が欠損するとともに、アレルギー性気道炎症が有意に減弱していた。さらに、HDMに対するTh2型免疫応答とともに、Th17型免疫応答が減弱していた。 以上の結果から気道上皮細胞に発現するFutは気道上皮細胞フコシル化を介してアレルギー性気道炎症を増悪させることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように本研究はアレルギー性気道炎症により誘導される糖鎖修飾を明らかにし、その病態における働きを解明することを目的としている。当初の目的のように、我々はレクチンアレイによる解析によってアレルギー性気道炎症により気道上皮細胞にフコシル化が誘導されることを見出し、さらにその誘導に関わる分子機構を解明した。また、フコシル化がアレルギー性気道炎症の増悪に関わることも示すなど、当初の目的を達成しおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は気道上皮フコシル化がアレルギー性気道炎症の増悪に寄与することを明らかにした。今後はその分子機構を解明するためフコシル化蛋白質の同定を試みる。また、フコシル化を受けた気道上皮細胞に特異的に発現する遺伝子を同定するため、Fut欠損マウス気道上皮細胞におけるRNAシークエンス解析を予定している。 また、得られた結果を英文専門誌へ投稿するため論文準備を進めている。
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Causes of Carryover |
当初はフコシル化蛋白質同定のために行うプロテオーム解析を2018年度に予定していたが、フコシル化蛋白を特異的に認識するレクチンの納入が遅れたため同実験を2019年度に繰り越ししたため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Sox12 promotes T reg differentiation in the periphery during colitis.2018
Author(s)
anaka S, Suto A, Iwamoto T, Kageyama T, Tamachi T, Takatori H, Suzuki K, Hirose K, Ohara O, Lefebvre V, Nakajima H.
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Journal Title
J Exp Med.
Volume: 215
Pages: 2509-2519.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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