2017 Fiscal Year Research-status Report
COPD肺組織修復における終末糖化産物受容体(RAGE)の機能
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17K09646
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊狩 潤 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (50734604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 裕司 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (50344990)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RAGE / 肺線維芽細胞 / 遊走能 / 組織修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、終末糖化産物受容体(receptor for advanced glycation end-products, RAGE)の遺伝子多型がCOPD患者の呼吸機能と関連することが報告された。また、患者肺においてRAGEの発現が著明に増加していることが明らかになった。COPDの一因として、肺組織修復能の低下が考えられている。肺線維芽細胞は、細胞外マトリックスの産生等を介して組織修復を促進し、肺組織の恒常性維持に極めて重要な役割を果たす。COPDでは、肺線維芽細胞の機能が様々な原因により変容し、組織修復能が低下していると推測されている。本研究ではRAGEシグナルの肺線維芽細胞修復メカニズムにおける生理機能の解析を行った。すなわちin vitroで、primary human lung fibroblastであるHFL-1細胞を、複数のRAGEリガンド(アミロイドβ蛋白、 S100蛋白、HMGB-1等)の存在下で培養し、肺線維芽細胞修復能を、細胞遊走能(ケモタキシスアッセイ)を用いて評価したところRAGEアゴニスト刺激により、時間用量依存性にHFL-1細胞の遊走が抑制された。各RAGEリガンドによる効果の違いも認めた。さらに上記結果がRAGEシグナル依存性であることをRAGE受容体の阻害実験(阻害抗体)により検証したところ、その効果はRAGE阻害剤により解除された。一部のRAGEリガンドはToll様受容体4(TLR4)も刺激するため、TLR4の阻害実験も遂行したところ、TLR4経路のシグナルでは介助されず上記結果はRAGE特異的な効果と考えられた。以上によりCOPD患者ではRAGEシグナルが過剰である可能性があること、COPDでは肺線維芽機能遊走能の低下が報告されており、本研究結果からその一因としてRAGEシグナルが関与する可能性が示唆される結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、研究を遂行しRAGEと肺線維芽細胞の機能の関連を裏付ける結果を得ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、RAGEの遊走能低下に関連する下流シグナルの検討を行う。RAGEの下流にはNFκB 、MAPK、などの転写因子があり、これらの阻害薬を用いて修復能に関連する分子を同定する。また、組織修復に重要なシグナル伝達因子であるPKA、COX、PTEN等の経路とRAGEシグナルとの換気絵も同時に解析する。さらに遊走能低下の要因、メカニズムについて、検討していく予定である。
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