2017 Fiscal Year Research-status Report
炎症細胞表面分子をターゲットにした劇症型急性肺炎の治療法の開発
Project/Area Number |
17K09656
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長谷川 明洋 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80376376)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肺炎 / 炎症 / 好中球 / 細胞イメージング / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性呼吸促拍症候群(ARDS)は、激しい好中球浸潤と肺胞の広範な傷害を呈する病理像が特徴であるが、その詳細な発症メカニズムは明らかになっておらず、また有効な治療法が確立されていない。 本研究では、劇症型ARDSモデルマウスを用いて劇症型急性肺炎の治療ターゲット分子の発見、治療ターゲット分子としての評価、バイオイメージング技術を駆使した急性炎症誘導機構の解明を目的として、今年度に以下の結果を得た。 1.肺炎症部位での活性化マーカー分子等の発現細胞の解析:マウスでの劇症型急性肺炎モデルとして、α-Galactosylceramideによる感作後にLPSを経鼻投与する系を用いた。野生型マウスでは激しい肺の炎症性変化とともに、2~3日で死に至った。野生型マウスで劇症型急性肺炎を誘導後、肺の炎症部位に浸潤している細胞上の活性化マーカー分子の発現レベルを調べたところ、好中球の他マクロファージやT細胞などあらゆる浸潤細胞においてその発現レベルが大きく上昇していた。 2.抗体投与実験による新規治療ターゲット分子の探索:劇症型急性肺炎に対する新規治療ターゲット分子をみつけることを目的に抗体投与実験を行った。様々なサイトカインやケモカイン、細胞接着分子に対する抗体を投与し、治療効果を比較検討した。 3.劇症型急性肺炎の発症におけるサイトカイン、ケモカインの発現レベルの検討:肺組織全体および肺胞洗浄液中の浸潤細胞からmRNAを抽出し、劇症型急性肺炎の発症前後での炎症性サイトカインやケモカインの発現レベルを比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究目的を達成するために、研究実施計画に従って研究を遂行した。その結果、炎症の誘導にともない発現上昇するサイトカインやケモカイン、細胞表面分子を同定できた。さらに抗体投与実験により劇症型急性肺炎を抑制できる新規治療ターゲット分子をいくつか同定できた。 今年度は当初予定していた研究をほぼ計画通りに遂行することができたことから、順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ本研究課題は当初の研究計画通りに進んでおり、次年度も研究実施計画に従って研究を推進していく予定である。具体的には、抗体投与実験により見つかった新しい治療ターゲット分子について劇症型急性肺炎の抑制機能を検討し、阻害必要量などの投与量に関する検討や効果的な投与時期について検討する。また、バイオイメージング技術を駆使した肺への炎症細胞浸潤様式の解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度は研究が予定よりもスムーズに遂行でき、共同研究先との研究打ち合わせ旅費を節約できたため。 (使用計画) 来年度以降に研究進捗状況をみながら当初の予定通り研究打ち合わせ旅費として使用する予定である。
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