2019 Fiscal Year Annual Research Report
New phospholipase A2 and pathophysiology of asthma
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17K09661
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井上 博雅 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30264039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 正樹 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90398298)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂質メディエーター / 気管支喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脂質代謝のボトルネック酵素であるホスホリパーゼA2 ファミリーの中で、肺における作用が明らかでない新規の脂質メディエーター代謝酵素「分泌性ホスホリパーゼA2」 に着目して、気管支喘息の病態における役割を解析した。 マウスの肺組織、気道組織、単離した気道上細胞を用いて免疫染色及びRT-PCRを用いた発現解析を行い、分泌性ホスホリパーゼA2の中で、1種類の分泌性ホスホリパーゼA2グループsPLA2g3が、気道組織(特に気道上皮細胞)で高発現していることを見出した。 そこで、この気道上皮で高発現する分泌性ホスホリパーゼA2遺伝子欠損マウスを用いて、抗原感作曝露による喘息モデルを解析した。その結果、欠損マウスでは野生型と比較して、好酸球性炎症が増強し、気道過敏性が亢進しており、喘息の病態が増悪していた。 この気道上皮で高発現するホスホリパーゼA2遺伝子欠損マウスでの喘息増悪の機序を解析した。骨髄キメラマウスを用いることにより、喘息の病態を担うホスホリパーゼA2が気道上皮細胞等の肺局所環境に由来することが明らかとなった。さらに、樹状細胞の抗原提示能や自然リンパ球数が変化すること、肺組織中の固有の脂質代謝変動パターンも確認した。 同定された責任脂質の受容体作動薬を投与するによる喘息表現型のレスキュー効果の検証を行い、欠損マウスに対しての受容体作動薬投与により喘息の病態が改善することも確認できた。喘息増悪の機序に分泌性ホスホリパーゼA2の関与が明らかとなり、新たな喘息病態が解明されたと同時に、受容体作動薬を用いた新規治療薬の開発に繋がる重要な研究成果となった。
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