2017 Fiscal Year Research-status Report
Identification of microRNA underying the common pathogenic mechanism of lung cancer and interstitial pneumonia and establishment of a basis for its therapeutic application
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17K09671
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小山 信之 東京医科大学, 医学部, 教授 (30353460)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 間質性肺炎合併非小細胞肺癌 / マイクロRNA / 網羅的発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に関する研究計画書を当該施設倫理委員会へ提出し、承認後研究を開始したが、自治医科大学呼吸器外科にての症例集積がやや遅延したため、共同研究施設として東京医科大学八王子医療センター呼吸器外科を追加した。研究計画書も変更し、当該施設倫理委員会へ提出して承認後、症例の集積を進めた。東京医科大学八王子医療センター呼吸器外科にて外科的切除を行った通常型間質性肺炎(以下UIP)パターンの間質性肺炎(特発性肺線維症)を合併した非小細胞肺癌3例と間質性肺炎を合併していない非小細胞肺癌3例に対して各々インフォームドコンセントを行い、同意を得た。その後間質性肺炎合併非小細胞肺癌症例の外科切除検体から間質性肺炎組織と肺癌組織、間質性肺炎非合併非小細胞肺癌症例の外科切除検体から肺癌組織と周囲の非間質性肺炎肺組織を各々採取した。なお非間質性肺炎肺組織については、より患者間および検体間の背景を整えるため、気腫性変化を伴っている部位を採取した。逐次症例を集積したため、採取した組織検体については各3例の集積に至るまで液体窒素または-80℃の超低温フリーザーに貯蔵した。 各3例集積後、採取した各検体よりRNA抽出キットを用いてTotal RNAを抽出した。なお間質性肺炎肺組織および非間質性肺炎肺組織からの線維芽細胞初代培養が困難だったため、間質性肺炎肺組織では蜂窩肺を同定して蜂窩肺とその周囲の組織からRNA抽出キットを用い、Total RNAを抽出した。各検体から抽出したTotal RNAは分光光度計を用いて質が良好であることを確認した後、網羅的マイクロRNA(以下miRNA)発現解析に用いた。網羅的miRNA発現解析については、GeneChip miRNA 4.0を利用した受託解析にて行った。現在解析中で、結果が到着次第、候補miRNAの同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は平成29年度中に目的とする症例の検体からTotal RNAを抽出して網羅的miRNA発現解析(受託解析)を終了し、さらに間質性肺炎非合併肺組織および間質性肺炎非合併非小細胞肺癌と比較して、間質性肺炎と間質性肺炎合併非小細胞肺癌において共通して発現が変化していたmiRNAを、本研究の目的として同定すべきmiRNAの候補として特定する計画だった。予期せず目的となる各病態を有した症例、つまり間質性肺炎合併非小細胞肺癌においては典型的なUIPパターンを示す間質性肺炎病変、間質性肺炎非合併非小細胞肺癌においては健常肺ではなく喫煙の影響を有する間質性肺炎を合併しない肺気腫病変の集積に難渋した。そのため該当病変を有する検体の採取に時間を要したものの、共同研究施設を追加したことで平成29年度中に目的とする症例を蓄積することが可能となった。結果として平成29年度においては、網羅的miRNA発現解析(受託解析)結果を検討することによる候補miRNAの抽出には至らなかったものの、現在は網羅的miRNA発現解析中であり、平成30年度前半には網羅的miRNA発現解析の結果を用いて候補miRNAの特定と候補miRNAに対するmimicまたはinhibitorを作製することが可能と考える。またすでに細胞実験の準備は済んでいる。以上より本研究の進捗に関しては、平成29年度においては残念ながら計画と比較してやや遅れたが、現在の状況から平成30年度中に当初の計画どおりとなることが可能な範囲の軽度な遅延であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に関しては、本研究の目的に対する候補miRNAの特定がやや遅延しているため、候補miRNAに対してmimicまたはinhibitorを作製し、非小細胞肺癌細胞株および線維芽細胞株に導入して機能解析を行うin vitroアッセイも開始が遅れることが予測される。しかしながら候補miRNA特定に必要な網羅的miRNA発現解析結果は間もなく判明する予定となっており、また我々はこれまでにもmimicまたはinhibitorも作製して他の研究を進めている。そのため同様の実験は経験済みであり、速やかにin vitroアッセイを開始することが可能なため、予定通りの研究計画進捗状況に戻せると予想される。これらに加えて複数のin vitroアッセイを同時に行えるように細胞実験をより効率化させる準備を進めている。候補miRNAの特定に関しても、研究協力者を増員してデータ解析を推進させるように手配中である。さらに平成31年度の研究計画では疾患モデルマウスを作製してin vivoアッセイを行うこととなっているため、疾患モデルマウスの作製を予定よりも早く平成30年度に開始することも考慮して実験を進める。これらin vitroおよびin vivoアッセイを可能な限り統合して効率よく進めるため、両アッセイに同一の細胞株を用いるだけでなく、in vitroアッセイにおける細胞培養等のプロトコールをin vivoアッセイにおいても利用する。ただ今後の研究計画が予定通り進まない場合は候補とするmiRNAの数を調整して、in vitroおよびin vivoアッセイの効率化をはかることも考慮する。
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Causes of Carryover |
平成29年度では、目的であるUIPパターンを有する間質性肺炎合併非小細胞肺癌症例および間質性肺炎非合併の肺気腫を合併した非小細胞肺癌症例の蓄積がやや遅延した。そのためにこれらの組織から抽出したTotal RNAを用いた網羅的miRNA発現解析もやや遅延し、平成29年度中に行う予定だった解析が平成29年度末から平成30年度初頭に行うこととなり、現在解析中である。次年度使用額については網羅的miRNA発現解析への支出に該当するものであり、今回次年度使用額が生じたが、すでに網羅的miRNA発現解析については発注しており、これらの費用についてはまもなく支出され、充当されることとなっているため、平成30年度前半には使用が確定している。これらの解析、支出については、平成29年度と平成30年度にまたがったために次年度使用額が生じており、平成30年度に予定されている研究計画に関する解析、実験と次年度使用額が充当される解析、実験とはもともと別の支出となっている。またすでに解析中の網羅的miRNA発現解析結果も間もなく得られる予定となっており、平成30年度の研究計画の進捗に及ぼす影響は軽微である。以上から今回の次年度使用額は間もなく支出される予定となっており、次年度使用額に該当する解析、実験の平成30年度の研究計画への影響は平成30年度中に回復できるものと予測される。
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Research Products
(4 results)