2018 Fiscal Year Research-status Report
単球-上皮細胞間のヒストン修飾・インフラマソームを介した炎症の悪循環の病態解明
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17K09680
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
藤野 貴行 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70322914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 直幸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30192272)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピジェネティック修飾 / 腎上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
移植腎の虚血再灌流障害、免疫学的拒絶反応および糸球体腎炎の病態では、腎臓の慢性炎症の持続には、炎症細胞から腎固有細胞への一方的なシグナルのみなら ず、双方向に作用するメカニズムが存在して、長期に持続する悪循環サイクルの存在が示唆される。この連関にヒストンのエピジェネティック修飾が共通する引 き金として作用する可能性がある。高脂肪食を与えたマウスモデルではポドサイト障害においてインフラマソーム活性化が関連する報告や、加齢に伴い増加する アミロイド線維はファゴソームを介してNLRP3インフラマソームを活性化する報告、動脈硬化形成においてコレステロール結晶がNLRP3インフラマソームを形成初 期段階に関与する報告を認める。マウスにおいてNLRP3阻害薬により結晶誘発性の腎繊維化を抑制することが報告されている。インフラマソームの果たす役割は IL-1βとIL-18の分泌を介した炎症誘導反応だけではなく、細胞死やオートファジーの誘導にも関わっていると考えられる。糸球体上皮細胞および尿細管上皮細 胞と単球との間のNLRP3インフラマソーム遺伝子発現へのヒストン修飾を介した炎症の悪循環の病態解明を目的とする。単球と腎上皮細胞間のインフラマソーム を介した相互連関においてヒストン修飾の重要性を解明することで、腎炎治療のターゲットを同定し創薬に貢献すると考え、本研究を進めている。①単球におけ るH3K4 me3のインフラソーム活性に対する作用のIn vitroでの検討、②ポドサイトおよび尿細管細胞におけるH3K4 me3のインフラマソーム活性に対する作用のIn vitroでの検討、③単球とポドサイトまたは尿細管細胞の共培養条件におけるH3K4 me3のインフラソーム活性に対する作用のIn vitroでの検討、④虚血・再灌流 モデルを用いたH3K4 me3とインフラマソームの関連のIn vivoでの検討、⑤腎炎におけるH3K4 me3とインフラマソームの関連の検討を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単球におけるH3K4 me3のインフラマソーム活性に対する作用のIn vitroでの検討をおこなってきた。①IL-1βおよびIL-18の定量、NLRP3、ASCやカスパーゼ-1発 現の検討。②MLL3 shRNAおよびC3aR, C5aR刺激薬により処理された単球培養上清を用いて、CD4陽性T細胞の分化、サイトカイン (Th17、Th1, 2)産生への効果検 討。③ERK1/2活性化など下流シグナルへの影響検討。④ATPとの関連を検討するため、P2X7阻害薬の効果検討。⑤ERK1/2依存性のATP流出に関わるpannexin-1、 connexin 43発現の変化検討。⑥カテプシンの局在や、阻害薬の効果検討、これらの所見を得ている。ポドサイトおよび尿細管細胞におけるH3K4 me3のインフラ マソーム活性に対する効果のIn vitroでの検討では、①CXCLおよびCCLケモカインの産生、②サイトカイン (Th17, Th1, 2)測定、③細胞内Ca濃度の検討、④ス リット構成蛋白であるポドシンとデスミンの発現、ポドサイトのVEGF発現の検討、⑤ASC, caspase-1の局在、caspase-1阻害薬の検討をおこなってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
単球とポドサイトまたは尿細管細胞の共培養条件におけるH3K4 me3のインフラマソーム活性に対する作用のIn vitroでの検討として単球‐ポドサイトまたは尿細 管細胞の相互作用においてNLRP3インフラマソーム活性化に対するH3K4 me3の役割を解明するため、MLL shRNAおよび過剰発現を双方の細胞、または一方の細胞に 行い、効果を検討する。虚血・再灌流モデルを用いたH3K4 me3とインフラマソームの関連解明として、C57BL/6マウスを用いて、腎虚血・再灌流による急性腎障 害モデルを作成する (Fujino T, Am J Physiol 2013)。大動脈を30分間クランプし、その後解除を行う。コントロールおよび shRNAを左腎へ経動脈的に注入する 系を用いて、各shRNA作用の比較検討を行う。MLL3, HIF1α, C3aR, C5aR shRNAの作用比較検討として、LPS敗血症モデル、葉酸欠乏食を与えた高ホモシスチン血 症のモデルでも検討する。①Tunnel法を用いたアポトーシスの検討。②経時的に糸球体、尿細管障害を形態評価。③腎機能の評価として血清尿素窒素(BUN)、 血清クレアチニン(Cre)値、急性期の尿細管障害のマーカーの血液および尿中Neutrophil Gelatinase-associated Lipocalin (NGAL)を測定。腎炎におけるH3K4 me3とインフラマソームの関連の検討として、ループス腎炎モデルマウス、半月体形成性腎炎モデルマウスの腎組織の検討を行う。倫理委員会の承認と厳格なイ ンフォームドコンセントを基に、腎生検より得られたヒト腎炎の組織標本から、NLRP3インフラマソームとH3K4 me3発現について検討を行う。
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Causes of Carryover |
虚血・再灌流モデルを用いたH3K4 me3とインフラマソームの関連のIn vivoでの検討や腎炎におけるH3K4 me3とインフラマソームの関連の検討において、マイク ロアレーを用いた網羅的検討による多額の支出を予定しているため
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Research Products
(3 results)