2019 Fiscal Year Research-status Report
腎臓発生や老化に関する研究成果を臨床医療に応用するための基盤研究
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17K09684
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
臼井 丈一 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70447340)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内科 / 発生 / 老化 / 病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、臓器再生研究においてES・iPS細胞由来キメラ腎臓・膵臓の作成に成功し、国内外で評価を得ている。申請者の研究技術・成果を活用可能な腎臓発生や老化のメカニズムを応用することで、複数の腎臓研究課題を進捗している。腎疾患の病態解明・治療法開発として、プロジェクトA:前年より継続して、腎発生のKey転写因子であるTcf21等の腎疾患・蛋白尿制御への関与の検討を、プロジェクトB:老化のKeyオルガネラであるミトコンドリア機能異常と腎疾患・蛋白尿制御との関連性の検討を進めている。 A. 糸球体細胞における腎臓発生のキー分子である転写因子Tcf21が、ヒト・小動物のネフローゼ症候群において腎臓糸球体組織にて発現の亢進を認め、これに比例して尿中のTcf21濃度測定においても高濃度であり正の相関が観察されている。また、治療反応時に蛋白尿が改善するに合わせて、発現が速やかに減少することも確認している。さらに、in vitro実験系としてマウス糸球体培養細胞への強制発現実験において、細胞骨格に作用し、また細胞死の抑制し細胞保護的に機能する可能性を見出している。ヒト・小動物においてin vivo、in vitroともに寄与が証明できている。これらの成果は、現在論文revise中である。 B. 変異ミトコンドリアDNA導入マウスにおいて、老化(加齢)の影響により、糸球体障害および蛋白尿を呈することを確認できている。ヒト疾患における老化による糸球体硬化モデルとして確立できた。マウス腎臓組織の解析し、加齢と糸球体硬化の出現が相関していことを明らかにした。一部の成果はすでに国際学会で発表済みであり、現在論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数のプロジェクトを進めているが、おおむね順調に進捗している。複数の課題の発表・論文投稿が実現し、目的を達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
腎臓発生および老化の研究の知見を臨床医学研究に還元することを目標として、腎臓病病態解明や移植におけるドナー腎臓の保護を念頭に置き、引き続き同様のテーマを中心に研究を進捗する予定である。中でも、発生のキー分子であるTcf21および老化のキーオルガネラであるミトコンドリアDNAが腎臓病名:ネフローゼ症候群患者における蛋白尿の制御メカニズムへの関与を明らかにできており、論文掲載が期待できる。さらに次の科研費基盤研究への布石として、新規性のある腎臓発生や体内他臓器の老化に関連した腎臓病の検討をすでに開始できている。またこれらの発生や老化のメカニズムの知見を高齢者腎臓疾患の発症メカニズムの解明や高齢ドナー腎臓の若返りなどの臨床応用への展開することが期待される。海外共同研究者との共同研究ネットワークを設立し、今年度から科研費国際共同研究強化(B)研究代表者に採択されており、本研究成果をその一つの基盤として国際共同研究への展開が期待できる。
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Causes of Carryover |
小動物の実験スケジュールを変更したため、消耗品費が予定より少額であった。論文化スケジュールの変更のため、印刷、投稿費用などの論文発表関係の費用が予定より少額であった。以上を考慮し、当該年度の未使用額は小動物実験関連の消耗品費および論文投稿関係の費用に充てる予定である。
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[Journal Article] Transcription factor MafB in podocytes protects against the development of focal segmental glomerulosclerosis2020
Author(s)
Toshiaki Usui, Naoki Morito, Hossam H. Shawki, Yoshinori Sato, Hiroyasu Tsukaguchi, Michito Hamada, Hyojung Jeon, Manoj Kumar Yadav, Akihiro Kuno, Yuki Tsunakawa, Risa Okada, Takaaki Ojima, Maho Kanai, Keigo Asano, Yuki Imamura, Ryusuke Koshida, Keigyou Yoh, Joichi Usui, et al
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Journal Title
Kidney Int
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed
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[Journal Article] Histamine receptor agonist alleviates severe cardiorenal damages by eliciting anti-inflammatory programming2020
Author(s)
Kazuyuki Noguchi, Junji Ishida, Jun-Dal Kim, Naoto Muromachi, Koichiro Kako, Hayase Mizukami, Weizhe Lu, Tomohiro Ishimaru, Shohei Kawasaki, Shuzo Kaneko, Joichi Usui, Hirochi Ohtsu, Kunihiro Yamagata, Akiyoshi Fukamizu
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci
Volume: 117
Pages: 3150-3156
DOI
Peer Reviewed