2017 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮障害を呈する腎疾患におけるSulf2の機能解析と新たな治療戦略の探求
Project/Area Number |
17K09694
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
増田 智広 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (70792646)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
内村 健治 名古屋大学, 医学系研究科, 招へい教員 (20450835)
小杉 智規 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90584681)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 細胞外スルファターゼ / Sulf2 / 糖鎖 / 脱硫酸化 / 加速型馬杉腎炎 / 内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞外スルファターゼSulf2は、分子量約130kDaの分泌型酵素で細胞外での膜タンパクに付着している糖鎖の脱硫酸化を担いWnt, BMP, GDNF, FGFというヘパリン結合性因子のシグナル伝達を制御する物質である。腎臓領域ではSulf1およびSulf2が細胞外基質蓄積を制御し糖尿病性腎症悪化に寄与するとの既報があり、私はヒトSulf2全身強制発現マウス(HSulf2Tg)と血管内皮細胞特異的Sulf2強発現 (Tie2-Cre/Sulf2)を用いて、Sulf2が腎機能保護および腎機能悪化のいずれに寄与するかについて解明したいと考え研究を進めた。 初年度の計画としてはHSulf2Tgの腎障害惹起時に表現型の確認をする事とした。まず、腎障害を惹起していない野生型とHSulf2Tgを比較したところ、双方ともに腎機能が正常であることを確認。 続いて、腎障害モデルとして交付申請書に記載した抗基底膜抗体により直接的に糸球体内皮細胞を障害する加速型馬杉腎炎モデルを作成した。HSulf2Tgの方が尿素窒素・クレアチニン・尿タンパクが高値である傾向を認めた(有意差つかず)。腎病理の半月体の形成数は両群に違いは認めなかった。 引き続き、HSulf2TgとTie2-Cre/Sulf2との間で前述の所見を比較したが、両群に有意差を持った違いは認めなかった。以上より血管内皮以外のSulf2が腎障害に寄与する可能性を考え、アドリアマイシン腎症モデルを追加して検討を重ねた。上皮細胞及びSulf2が共にWnt signalとの関与が報告されている事からもSulf2と腎障害の関与の解明に適していると考え実験を追加を現在検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験動物の確保はできていたが加速型馬杉腎炎を惹起するために必要なウサギ抗マウス糸球体基底膜抗体の投与量が当初の予想より大きい力価が必要となった。そのため、抗体増産に時間を割かざるを得ない状況になり、研究に必要な疾患モデルを十分量作成することが遅れました。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、アドリアマイシン腎障害のモデル作成を検討中である。また、交付申請書の通りL-NAME投与による慢性的な血管内皮機能障害モデルを作成し表現型を評価していく予定である。 小生の所属施設ではヒトの腎生検検体を利用できる研究環境下にあるため、HSulf2の局在および疾患存在下での発現の変化をその検体で評価していきたいと考えている。具体的には in situ hybridizationでの評価を検討中で、そこで得られるであろう新たな知見による今後の研究の方策を修正していく見込みである。
|