2018 Fiscal Year Research-status Report
CD147による細胞内輸送・代謝機構の解明と糖鎖修飾調整を介した新規治療法の開発
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17K09695
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小杉 智規 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (90584681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
門松 健治 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (80204519)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CD147/Basigin / 乳酸 / 脂肪肝 / 高脂肪食 / 糖新生 / 脂肪酸合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
CD147/Basigin(Bsg)は臓器特異性の糖鎖を有し幅広い臓器に分布するが、細胞内エネルギー代謝にいかに関与するか不明である。Bsgは乳酸transporterであるMonocarboxylate Transporter (MCT) 1-4とのシャペロン形成を介して、細胞内における乳酸輸送を活発化する事が証明されている。 Bsg欠損マウス(Bsg-/-)では空腹時であっても血糖の低下、乳酸やピルビン酸の利用能が低下していることが判明した。これらはBsgの欠損は乳酸やピルビン酸を利用した糖新生能が低下することを示すと推測された。実際、Bsg-/-由来の初代肝細胞培養において、Bsgの欠損は糖質の生成が野生型に比して抑制されていた。 これまでに、Bsg-/-へ高脂肪食負荷すると腎臓・肝臓における臓器障害が野生型マウスに比して抑止される知見を得ている。体重変化や食事摂取量に野生型とBsg-/-を比べても有意な差は認めらなかった。空腹時と同様に脂肪食負荷時において、Bsg-/-の血糖は野生型に比して低下しており、インスリン抵抗性・耐糖能異常の改善が示唆された。インスリン感受性については二次的な要因により可能性であるか、直接的な反応であるのか、未だ推論の域を超えていない。しかし、beta酸化への影響は乏しく、脂肪酸合成能による表現型の差であると考える。 AMP/ATP 比の増加により肝臓及び腎臓におけるAMPKのリン酸化などに影響を与えることも推測されるが、さらなる細胞内エネルギー代謝経路への詳細な解明と検証を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に、高脂肪食負荷時のBasiginの役割について、動物実験では検証をし、糖新生や脂肪酸合成への関与を明らかにした。現在は、初代培養肝細胞を用いて糖新生と脂肪酸代謝の分子生物学的解析を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度提出の計画の通り、Basiginの糖新生・脂肪酸代謝における役割を検証し、細胞内におけるエネルギー代謝経路への関を明らかにする。
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