2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of new therapeutic strategy by targeting the inflammasome.
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17K09698
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
四方 賢一 岡山大学, 大学病院, 教授 (00243452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 聡 岡山大学, 大学病院, 助教 (60779429)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / インフラマソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症は、わが国における末期腎不全の最大の原因疾患であり、糖尿病性腎症の成因を解明して新しい治療手段を開発することは喫緊の課題である。我々は一連の研究によって、糖尿病性腎症の成因に軽微な慢性炎症(microinflammation)が関与していることを報告してきたが、近年、microinflammationがインフラマソームの活性化によって引き起こされることが示唆されている。本研究課題は、糖尿病性腎症の成因におけるインフラマソームの役割を明らかにするとともに、インフラマソームを標的とした腎症の新しい治療薬の開発を目的としている。 本年度は、複数の糖尿病モデルマウス(db/dbマウス, Akitaマウス, KK-Ayマウス)を用いて、インフラマソーム関連遺伝子発現について検討を行った。非糖尿病マウスに比較して、いずれの糖尿病マウスでも、HbA1cが有意に上昇し、尿中アルブミン排泄率の有意な増加を認めた。インフラマソーム関連遺伝子の発現はいずれの糖尿病マウスにおいても増加したが、特にKK-Ayマウスでは、その増加が顕著であった。一方で、糖尿病を誘発したNLRP3 KOマウスでは、野生型糖尿病マウスと比較し、尿中アルブミン排泄率の増加が有意に抑制された。以上の検討により、糖尿病性腎症の発症および進展の過程におけるインフラマソームの関与が明らかになり、インフラマソームを制御する治療は糖尿病性腎症の治療標的となりうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画としていた、糖尿病マウスの腎組織におけるインフラマソーム関連分子の発現解析とNRLP3ノックアウトマウスを用いた検討を行った。NLRP3ノックアウトマウスの組織学的検討および炎症関連分子の発現に関する検討を、平成30年度に行うこととし、平成30,31年度に行う予定であった、インフラマソームをターゲットとした糖尿病性腎症に対する新しい治療薬の開発に関する動物実験を前倒しで開始した。 全体的には、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
インフラマソームをターゲットとした糖尿病性腎症に対する新しい治療薬の開発を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
NLRP3ノックアウトマウスを用いた研究の一部を平成30年度に行うこととし、平成30,31年度に行う研究の一部を前倒しで開始したため、その差額で次年度使用額が生じた。
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