2018 Fiscal Year Research-status Report
new therapeutic of podocytopathy using cell membrane stabilization on podocytes via glycosphingolipid GM3
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17K09709
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
川島 永子 北里大学, 医学部, 助教 (90342774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲山 賢一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究部門付 (40357679)
内藤 正吉 北里大学, 医学部, 講師 (40365101)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 巣状糸球体硬化症 / 糖脂質 / ガングリオシド / GM3 / 足細胞 / ネフリン / タンパク尿 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、巣状糸球体硬化症(FSGS)モデルマウスの糸球体では、ネフリンの発現量減少、F-actinの崩壊がGM3の発現量の減少と相関がある事を見出した。Vitro実験では、ネフリンとGM3分子間の挙動の相関性や相互作用が示された為、生体治療標的として足細胞に発現する糖脂質GM3に焦点を当てる事とした。抗ネフリン抗体によりネフリン障害を誘導しても、細胞膜上に糖脂質GM3の発現が増強されていれば、ネフリンに起因するアクチン構成シグナルが正常化されるため、結果としてF-actinは崩壊しないことがわかった。これは、抗体結合によって破綻に向かうネフリンの構造変化をネフリン足場に局在する糖脂質が阻止する働きがあり、結果として生体では正常なスリット膜機能の維持が保たれるのではないかと推察される。Vivo実験では、FSGSモデルマウスへのバルプロ酸(VPA)の投与を介してGM3を内因的に発現増強させる事で、腎障害やネフローゼ症候群などの慢性腎疾患の予防・進行阻止効果について検討した。その結果、生体においても、VPAの投与により劇的にタンパク尿、硬化病変、ポドサイト数減少を抑制できた。本研究では、VPAを介したGM3の発現増強により、ネフリン、糸球体機能や慢性腎疾患におけるネフリン・糸球体機能やタンパク尿出現を著明に予防・進行阻止する結果が示されている。特に重要な点は、i)足細胞障害初期はGM3の減少も伴うこと、ii) GM3の発現増強により、ネフリン障害を回避できるため、正常ネフリン・リン酸化が維持され、F-actinが崩壊しないこと、iii) VPAを用いたGM3の発現増強により、抗体誘導性FSGSモデルマウスのタンパク尿、硬化病変、ポドサイトの減少を劇的に抑制できること、である。しかし、抗体誘導性の真の原因を追究するため、病態誘導前後の細胞膜の微細な分子構造の変化を捉えていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画調書通り概ね進捗しているが、vitro実験に関して、SDS処理凍結レプリカ標識法を用いた電顕解析がやや難航している。この理由は、この手法による解析のための最適抗体が入手出来ないことであった(一昨年末に発生した所属学部棟の火災の影響が残り、研究室での新たな抗体作成の着手が遅れたため)。最近になり、自前の新たな抗体の作製が終了したため、現在、この抗体を用いて解析中である。vivo試験については、非常に良好な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗体が結合した直後の病態変化を捉えることが、真の抗体誘導性慢性腎臓病の原因を突き止めることに繋がると考えている。また、この事象を捉えることは、慢性腎臓病への新たな創薬に対しても、大きな情報を提供できると考えられる。このために、病態誘導性の抗体が抗原に結合した直後の細胞膜の微細(または劇的)な変化を観る必要性が高いが、この課題を解決するためには、凍結割断レプリカ法(SDS-FRL法)が有効であると考えていることから、この手法の専門である福井大学医学部の深澤有吾先生らとの共同研究も行っている。昨年度は、我々が保有する目的分子の特異抗体(6種)を用いて、細胞の膜構造の解析を試みたが、残念ながら電顕解析には不適な抗体群であった。そこで、新たに特異抗体を樹立したため、これを用いて、現在解析を実施中である。
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Causes of Carryover |
計画していた各種検討が比較的順調に進捗した。この為、最低限の回数の再現性試験を行うに留められた。さらに、一昨年末に発生した所属学部棟での火災の影響で、解析に必要な作業のスケジュールが一部遅延した。また、発注済みだが現在支払い手続き中の物品もある為、次年度への使用額が発生した。 最終年度は、主に動物試験を行う計画を組んでいるが、個体ならではのデータのばらつきなども想定しておく必要がある。この為、再現性試験は複数回行う可能性があると想定した上で、繰越額を含めた額を計上する。
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Research Products
(11 results)