2018 Fiscal Year Research-status Report
抗PLA2R抗体とPLA2R高発現ポドサイト細胞株を用いた膜性腎症病態解明
Project/Area Number |
17K09715
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
勝又 康弘 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60349719)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 膜性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、特発性膜性腎症の病態における、ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)の役割について、ヒトポドサイト細胞株を用いて明らかにすることを目的とする。本研究代表者らは、平成26-28年度の科研費基盤研究において、PLA2Rの安定形質発現株を作製し(従来報告は一過性発現細胞のみ)、同細胞を用いたウェスタンブロットとCell ELISAを開発し、日本人特発性膜性腎症においても、約50%の陽性率があること、また病勢評価や治療反応性予測に資するバイオマーカーであることなどを報告した。一方、本抗体は単なるバイオマーカーではなく、抗体ないしPLA2Rに病態的意義があることが推測されているが、その機序はまったく不明である。そこを明らかにすることが、本研究の新たな目的である。 本年度(平成30年度)は、まず、病態研究を進めるため昨年度に作製した、ヒトポドサイトのセルラインにPLA2Rを恒常的に強発現させた安定形質発現株の解析を進めた。しかし、目的蛋白(=ヒトPLA2R)の発現が十分ではなく、解析が滞った。そのため、別のヒトポドサイトのセルラインを用いて、かつ、若干手法も変えて、新たな安定形質発現株の作製を目指す方針とした。 具体的には、安定形質発現株作製の第1段階として、まず、フルレングスのヒトPLA2R 遺伝子情報を合成した遺伝子をベクターに挿入し、次に、発現ベクターをヒトポドサイト細胞株にトランスフェクションし、トランスフェクション後の細胞を抗生剤を含む培地中で、継代培養し、安定発現細胞を樹立する方針である。本年度末時点で、作製途上にあるが、次年度(2019年度)前半には、完成の見込みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度(平成30年度)は、作製したヒト膜型ホスホリパーゼA2受容体(PLA2R)の安定形質発現ヒトポドサイト細胞株を用いて、抗PLA2R抗体陽性患者血清中の同抗体の、抗原(細胞株上に発現しているPLA2R)への特異的結合を検証し、患者血清中の抗PLA2R抗体のポドサイト細胞株への結合による、ポドサイト細胞株の形態的・機能的変化を評価する方針であったが、目的蛋白(=ヒトPLA2R)の発現が十分ではなく、解析が滞った。 そのため、別のヒトポドサイトのセルラインを用いて、かつ、若干手法も変えて、新たな安定形質発現株の作製を目指す方針としたため、やや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(2019年度)の計画としては、新たに作製したPLA2R安定形質発現ヒトポドサイト細胞株を用いて、患者血清中抗PLA2R抗体の病原性について検討する予定である。 具体的には、PLA2R安定形質発現ヒトポドサイト細胞株を用いて、抗PLA2R抗体陽性患者血清中の同抗体の、抗原(細胞株上に発現しているPLA2R)への特異的結合を検証し、患者血清中の抗PLA2R抗体のポドサイト細胞株への結合による、ポドサイト細胞株の形態的・機能的変化を評価する方針である。
|
Causes of Carryover |
当初計画としては、本年度(平成30年度)にもう1つのヒトポドサイト細胞株のPLA2R安定形質発現株を委託作製する予定であったが、納期が次年度(2019年度)にずれ、最終の支払いが納品時となったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、納品時に支払いし、納品されるもう1つのヒトポドサイト細胞株のPLA2R安定形質発現株を使用し、抗PLA2R抗体の病原性について、より詳細な検討をする予定である。
|