2017 Fiscal Year Research-status Report
S-アデノシルメチオニン(SAM)代謝の変異の糖尿病腎症の病態に果たす役割の解明
Project/Area Number |
17K09718
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
北田 宗弘 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (40434469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70242980)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病腎症 / 低蛋白質食 / メチオニン / S-アデノシルメチオニン |
Outline of Annual Research Achievements |
24週齢雄の非糖尿病ラット(Cont),Wistar fattyラット+標準食(DM),Wistar fatty ラットト+低蛋白質食(DM+LPD)の血漿についてのメタボローム解析の結果,DMにてメチオニン(Met)代謝産物S-アデルシルメチオニン(SAM)がContに比べ著明に増加し,LPDにて減少を認めた。腎皮質のSAM代謝酵素グリシンN-メチルトランスフェラーゼ(Gnmt)発現は,Contに比べDMでは有意に低下していた。またSAM免疫組織染色にても,Contに比べDMで染色強度は増強していた。一方DM+LPDでは腎Gnmt発現はDMと同等であるも,SAM染色強度は低下していた。次にMetのDM腎に及ぼす影響を検証すべく,24週齢雄のラットを1)Cont,2)DM(Met0.64%),3)DM+LPD(Met0.15%),4)DM+LPD+Met(Met0.64%)に分別し,20週間の食事介入を施行した。尿中アルブミン/Cr比・L-FABP/Cr比は,Contと比べ,DMにて有意に増加し,DM+LPDで低下も,DM+LPD+MetにてLPDによるそれら改善効果は打ち消された。腎線維化・尿細管細胞障害,尿細管間質の炎症もまた,Contに比べ,DMにて有意に増加し,DM+LPDにて低下も,DM+LPD+Metにてそれらの効果は消失した。さらにLPDによるDM腎におけるmTORC1の活性化抑制・オートファジー低下の回復,SAM免疫染色強度の低下に対する効果も,Met負荷にて打ち消された。以上の結果は,LPDの腎保護効果はMet制限を介している可能性,また腎尿細管細胞におけるGnmt低下に起因するSAM代謝の低下・SAMの蓄積が糖尿病腎症の悪化に寄与している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、Wistar fattyラットにおける低蛋白質食+メチオニン負荷食の実験は概ね予定通り進展している。また今後の推進方策に記載のGnmtノックアウトマウスを用いた検証,Met制限食を用いた検証,培養尿細管細胞における検証を既に開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,Gnmtの低下およびSAMの蓄積が糖尿病腎症の病態形成に如何に関わっているかを明らかにするために,Gnmtノックアウトマウスを用い,60%高脂肪食負荷における腎障害が,Gnmtノックアウトマウスで増強されるか,またその作用機序を検討する。加えて,培養腎尿細管細胞において,メチオニンおよびSAM負荷がオートファジーを抑制するか,またGnmtが細胞保護的に作用するかどうかについてGnmt過剰発現尿細管細胞を用い検証する。さらに80%Met制限食を作成し,Wistar fattyラットに対し,Met制限食の糖尿病腎症改善効果を検証する。さらにMet以外のアミノ酸;ロイシン,イソロイシン,バリン負荷の糖尿病腎症に与える影響についても検証を行う。
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