2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of intestinal microbiota and barrier function in chronic renal failure and therapeutic strategy
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17K09722
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70449891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長洲 一 川崎医科大学, 医学部, 講師 (40412176)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 尿毒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌叢 (腸内フローラ) は生体内共生環境として個体の恒常性維持に重要な役割を果たす。腸内細菌叢は加齢や生活環境により変動し、健康状態や疾病に関与することが明らかとなっている。慢性腎臓病患者における腸内細菌叢の変化は、栄養障害、全身性または局所性の炎症惹起の他、インドキシル硫酸など尿毒素産生の一因になり得る。近年の報告では、便秘薬による腸内環境の改善により、慢性腎臓病の進行が抑制されることが報告された。腎不全で悪化した腸内環境の改善が、慢性腎臓病の新規治療ターゲットとなる可能性がある。生体は感染防御のため、自ら抗菌物質を産生している。ヒトにおける抗菌ペプチドはディフェンシンと総称され、細菌、真菌など広範囲にわたり抗菌活性を持つ。このうち粘膜上皮の感染防御に関与しているのがα-とβ-ディフェンシンである。α-ディフェンシンは腸内細菌の組成を制御することによって腸内環境の恒常性を保っていることが明らかになっている。腸内細菌叢変化にディフェンシンの発現変化が関与していることが推測されるが、慢性腎不全病態におけるディフェンシン発現変化を検討した報告はない。我々は、「慢性腎不全では、尿毒素物質の増加により腸内ディフェンシン発現変化をきたし、腸内細菌叢が変化する」との仮説を立てた。腸内細菌叢の悪化がさらなる炎症惹起物質の増加を来し、腸管バリア機能を傷害し、腸管内で増加した尿毒症物質の体内吸収を阻止できず、血中尿毒症濃度の上昇を来すのではないかと考える。腸管バリア機能改善が尿毒症物質を低下させ、腎臓病進展阻止の有効な治療法につながると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの動物実験はほぼ終了している。in vitroのパネト細胞培養実験を残すのみである。
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Strategy for Future Research Activity |
ディフェンシンの低下作用機序について、今後検討する。R-spondin1の低下が関与していることは確認している。尿毒素物質とR-spondin1の発現調節機序をin vitorの実験で詰めていく。
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Causes of Carryover |
予定していたELISAキット購入が10万円以上であり、残金で購入できなかった。次年度の交付金と合わせて購入する予定である。
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