2019 Fiscal Year Annual Research Report
Control of multi-organ communication and treatment of CKD by hepatic phosphaturic factor
Project/Area Number |
17K09727
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
辰巳 佐和子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80420545)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | リン / 肝臓 / 腎臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)の重症化を予防をするためには、新たな先制治療戦略が必要であることは周知されている。CKDの予後悪化因子である高リン血症は、早期からの全身性リン代謝異常により生じるとされるが、詳細は不明である。本研究の目的は、これまでの申請者らの研究で得られた新規概念である 『肝リン利尿因子が繋ぐ多臓器連関制御』の解明をすることである。 2018年度には、肝利尿因子によるNampt/NAD+系の活性化が血中リン濃度、尿中リン排泄の日内リズムを制御することを示し、CKDモデルマウスの肝臓Nampt/NAD+系を活性化させることで、その重症化を抑止することがわかった。 この成果を踏まえて、2019年度は、『Namptを活性化させる肝利尿因子(Nampt Activator)およびその受容体の同定』に取り組んだ。肝臓特異的Nampt欠損マウス(LNKO)と野生型マウスの肝臓メタボローム解析、マイクロアレイ解析を実施した。肝利尿因子の候補代謝産物(X)を見出した。この候補代謝産物(X)は、尿中リン排泄促進効果を認めた。興味深いことに、CKDマウスでは代謝産物(X)が減少しており、高リン血症の重篤化と正の相関を認めた。さらに、代謝産物(X)をCKDマウスに投与することで、高リン血症が是正されCKDの重症化を抑止した。またLNKOを用いたCKDマウスでは、野生型以上に重篤な高リン血症となり、候補代謝産物(X)投与による改善が認められなかった。 以上の成果より、本候補代謝産物(X)は肝臓Nampt/NAD+系の活性化に関与し、CKD重症化予防に有用な因子である可能性が示唆された。また腎臓マイクロアレイ解析の結果より、LNKOで大きく変動する遺伝子群を見出した。これらの遺伝子群の中から腎臓Nampt活性化に関与する肝利尿因子の受容体もしくは輸送体が存在するかを引き続き検討する。
|
Research Products
(11 results)