2018 Fiscal Year Research-status Report
骨発現Klothoによるミネラル代謝制御機構の解明
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17K09738
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
深川 雅史 東海大学, 医学部, 教授 (00211516)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Klotho / FGF23 / 骨代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体のカルシウム,リン代謝の恒常性維持は,尿生成と活性型ビタミンD産生の場である腎臓,副甲状腺ホルモン(PTH)を産生する副甲状腺,さらにカルシウム,リンの貯蔵庫である骨を中心とする精緻な制御システムによって成り立っている。近年,このシステムに関与する新たな因子として発見されたのが線維芽細胞増殖因子23(FGF23)である。FGF23は骨細胞により産生されるホルモンで,腎臓を主な標的臓器とし,尿中へのリン排泄および活性型ビタミンD産生を抑制する。FGF23がその生理作用を発揮するためには,標的細胞にFGF受容体とともに膜蛋白Klothoが共受容体として必要となる。 しかしながら,骨細胞におけるFGF23分泌調節機構の詳細は未だ明らかではない。これまでの検討でリン,PTH,活性型ビタミンDがFGF23分泌を促すことが示されているが,これに加え,骨細胞に発現するFGF受容体もFGF23産生調節に関与していることが相次いで報告されている。しかし,この機構におけるFGF受容体のリガンドは明らかでない。このような状況の中,近年,骨細胞にKlothoが発現していることが明らかとなった。また遺伝子転座によりKlotho発現が顕著に増加した患者において,FGF23が過剰に産生され,低リン血症性くる病をきたしたことが報告された。 以上の知見より,われわれはFGF23がFGF受容体とKlothoの複合体を介し骨細胞に作用し,FGF23分泌を刺激するというpositive feedback仮説を着想するに至った。そこで本プロジェクトでは,骨組織特異的にKlothoを過剰発現するマウスを作製し,FGF23分泌調節におけるKlothoの役割を解明することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨特異的Klotho過剰発現マウスを,Cre-loxP部位特異的組換え法を用いて作成するため,われわれはまずKlotho-loxPマウスの作製を試みた。大塚正人氏らが開発したPITT法を用いて,目的通りにKlotho-loxPマウスを作製し得た。 さらにこのKlotho-loxPマウスを理化学研究所バイオリソースセンターより提供を受けたCol1a1-Creマウス(B6.FVB- Tg(Col1a1-cre)1Kryマウス)と交配した。これらの交配により,骨組織特異的Klotho過剰発現マウス(Col1a1-Cre;Kl-Tg)を得ることに成功した。本マウスは対照マウス(Kl-Tg)と比較し,骨組織のKlotho発現が著しく亢進していることをRT-PCT,免疫染色,Western Blotにより確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,骨組織特異的Klotho過剰発現マウスの表現型を詳細に解析し,FGF23分泌制御におけるKlothoの役割を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に支給された助成金はほぼ全額使用されたが,解析が円滑に進捗し,想定より少量の試薬で済んだため,60,279円が余剰となった。余剰金は試薬や備品の購入費用に充てる予定である。
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