2021 Fiscal Year Research-status Report
腎血管性高血圧への血行再建術の適応基準の確立と病態改善機序の解明
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17K09743
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
岩嶋 義雄 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (80448068)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎血管性高血圧 / 高血圧性臓器障害 / 線維筋性異形成 / 腎動脈狭窄症 / 自律神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎血管性高血圧(RVHT)は腎動脈の狭窄や閉塞によるもので、二次性高血圧の代表的疾患の一つであり、心血管病の発症リスクが高いことが知られている。その原因は動脈硬化性(ARAS)と線維筋性異形成(FMD)に大別されるが、効果的な治療法など不明な部分が多い。本年度は以下の研究成果を得た。 ① RVHTの病態にはレニン-アンジオテンシン系の亢進の他に、交感神経活動の亢進やナトリウム貯留が関与する。また、RVHTの治療法の一つである経皮的腎動脈形成術(PTA)後には急激な血圧低下を認めることがあるが、PTA後の降圧の機序や自律神経・ナトリウム利尿の関わりについては不明な部分が多い。 今回、洞調律かつ高度腎動脈狭窄を有する腎血管性高血圧患者64名(平均60歳、FMD 31.3%)を対象に、携帯型自動血圧心拍計(TM-2425)を用いて24時間自由行動下血圧、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、24時間蓄尿、を術前2日と術後3日に評価した。自律神経の指標のうち、R-Rスペクトル解析(FFT法)で評価したLFとLF/HFを心臓交感神経活動の指標として、心拍変動係数(%RR50)とHFを副交感神経活動の指標とした。 RVHTへのPTAは術後3日目に有意な降圧をもたらした。術後の急激な降圧の機序には体液量の低下と夜間のナトリウム排泄の低下の関与が示唆された。また、腎内の血液灌流は自律神経やナトリウム排泄の概日変動性を規定しており、術前の自律神経活動の評価によりPTA後の降圧効果を予測できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎血管性高血圧への血行再建術後の降圧機序について、自律神経やナトリウム排泄の概日変動性の観点から解明して論文報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の研究計画のうち、「血行再建術による病態の推移」について検討を進めている。令和4年度は、研究計画に沿って、以下を推進する。 1)腎血管性高血圧患者からこれまで収集した生体由来試料を収集して、疾患・症状の発症に関与する物質を多角的に探索する。 2)血行再建術の前後での診察室血圧だけでなく診察室外血圧を併用することで、詳細な血圧評価を行い、治療反応性の有無で比較・検討することで、血行再建の治療効果に関連する因子を見出す。
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Causes of Carryover |
本年度は、当初の計画より少額の研究費で効率よく、研究遂行することができた。また、以前に確保できた物品・消耗品を本研究に応用することで使用額を抑制することが出来た。今年度に計画していた実験の一部を遂行するためには本年度の助成額以上を必要とするため、次年度に使用するように考慮した。
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Research Products
(6 results)