2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel therapeutics for acute phase of cerebral infarction targeting neurosecretory peptides
Project/Area Number |
17K09746
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山口 淳 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00314336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞急性期の治療法は、血管再開通療法と神経保護療法に大別される。前者は超急性期(脳梗塞後~8時間以内)に血栓溶解療法や脳血管内治療が施行されるが、適応患者は限定されるため、急性期あるいはそれ以降の脳梗塞の病態解明や、神経保護薬などの治療法の開発は急務である。 当該研究は、マウス脳梗塞モデルを用い、脳梗塞の急性期に誘導される神経分泌ペプチドの神経保護効果の検証と、急性期から慢性期に渡る長期的な脳梗塞の病態解析を施行した。前者に関しては、神経培養細胞を用いたin vitro解析では、脳梗塞急性期~亜急性期に脳梗塞巣周囲で誘導されるVGFがプロセッシングされたTLQP-21, AQEE-30の2つのペプチド断片が化学的虚血ストレスに対する神経保護作用を有した。しかし、脳虚血マウスモデルを用いたin vivo解析では効果を認めなかった。後者においては、急性期から慢性期の長期的な病態解析として、炎症性因子(IL-1, IFNγ, IL-6)、神経新生・可塑性因子(GAP43, Neuritin, VGF, Arc, PC3)、神経栄養因子(NGF, NT3,BDNF, IGF1,VEGF)、軸索伸展阻害・再構成因子(NogoA, NogoR, MMP9, GFAP)などの遺伝子発現解析およびミクログリアの形態学的観察を施行した。形態学的解析では、脳梗塞後7日目をピークにミクログリアマーカであるIba-1陽性細胞の増加を認め、その後もミクログリアの活性化の持続を認めた。遺伝子発現解析では炎症性因子の遺伝子発現変化として急性期(1-3日目)と亜急性期(14日目)の2峰性の発現誘導ピークを認め、特に7日目以降に、栄養因子、神経再生因子や神経回路再構成因子の発現誘導を認めた。以上の結果より、脳梗塞後の急性期~亜急性期の炎症制御が新たな治療ターゲットとなる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)