2017 Fiscal Year Research-status Report
孤発性筋萎縮性側索硬化症治療薬としての分子標的薬RNAアプタマーの研究
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17K09747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤松 恵 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (00753675)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ALS治療薬 / RNAアプタマー / ALSモデルマウス / カルシウム透過性 / 運動ニューロン / ADAR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は、未編集型GluA2をサブユニットに持つAMPA受容体を特異的にブロックするRNAアプタマーの効果をALSモデルマウスで評価するための準備実験として、RNAアプタマーの脳室内投与プロトコルを検討した。 1) RNAアプタマーの脳脊髄内の分布および安定性を確認するために、放射性同位元素[γ-32P]ATPを5’-リン酸部位に標識をしたRNAアプタマーの脳室内投与を行った。投与後、脳および脊髄の組織を採取し、オートラジオグラフィーおよび液体シンチレーションカウンターを用いた分析により、脳および脊髄の灰白質内に投与したRNAアプタマーが分布し、また、投与部位の脳から脊髄へ向け、濃度勾配的にRNAアプタマーが分布しているのが確認できた。 2) さらに細胞内カルシウムインジケーターであるGCaMPを大脳皮質内に発現させたマウスを用い、麻酔下のマウス大脳皮質表面からRNAアプタマーを局所投与し、二光子顕微鏡によるカルシウムイメージング法を用いて観察し、大脳皮質ニューロンのCa2+流入抑制効果が得られるRNAアプタマーの局所濃度を測定した。 1)および2)の結果よりRNAアプタマーの至適脳室内投与量を算出し、次にALSモデルマウスであるコンディショナルADAR2ノックアウトマウス(AR2マウス)に対してのRNAアプタマーの効果を検討した。体内埋込式の小型浸透圧ポンプから側脳室に留置したカニューレを経由してRNAアプタマーの短期間(2週間~1ヶ月)の持続的脳室内投与を行い、Ca2+透過性AMPA受容体のブロックによる運動ニューロン死抑制効果および孤発性ALSで観察されるTDP-病理の改善効果を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに、RNAアプタマーの投与方法の準備実験が終了し、マウスへの短期間投与段階に進んでいる。短期間投与での結果をもとに、長期投与へ向けて、RNAアプタマー濃度や投与速度などのプロトコルを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAアプタマーのマウスへの脳室内投与方法が確立したことで、今後はALSモデルマウス(AR2マウス)を用いて、病理学的組織および運動機能への効果が得られるRNAアプタマーの投与期間、投与量などの検討を行う。
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