2018 Fiscal Year Research-status Report
孤発性筋萎縮性側索硬化症治療薬としての分子標的薬RNAアプタマーの研究
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17K09747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤松 恵 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (00753675)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ALS治療薬 / RNAアプタマー / ALSモデルマウス / カルシウム透過性 / 運動ニューロン / ADAR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は、ALSモデルマウス(AR2マウス)を用いて、カルシウム透過性AMPA受容体のブロックによる運動ニューロン死抑制効果、TDP-43細胞内局在変化に対する効果、さらに運動機能に対する効果を短期~長期で検討した。 1)in vitroで効果が異なる3種類のRNAアプタマーについてALSモデルマウスの脳室内より持続的に投与を行い、アプタマーの種類の違いによる有効性を確認し、長期投与に用いる候補RNAアプタマーを決定した。 2)3種類の中で、安定的に、運動ニューロン死およびTDP-43の細胞内局在に対する効果が得られたRNAアプタマーについて、2週間の短期脳室内投与にて有効濃度の検討を行った。結果、用量依存的に、運動ニューロン死に対する効果が確認され、長期投与に用いる濃度を決定した。 3)また、AMPA受容体拮抗薬で通常観られる副作用としての鎮静作用が臨床応用には懸念事項となることから、RNAアプタマー投与による鎮静作用の検討も行った。すべてのRNAアプタマー投与群で、鎮静作用は観察されなかった。このことは、臨床応用に向けて非常に有益な結果であった。 4)RNAアプタマーの鎮静作用が確認されなかったことから、高濃度における長期での投与も可能と考え、長期投与(3か月)の検討を開始した。結果、病理組織学的評価においては、運動ニューロン死、TDP-43の細胞内局在は、非投与群に比べ有意に改善された。また、ローターロッドによる運動機能評価においても、非投与群はぼぼ横ばいであるのに対し、RNAアプタマー投与群は投与2週目ころから有意に運動機能が改善された。さらにマウスの匹数を増やして検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りに2週間の短期間投与における至適濃度の結果を経て、RNAアプタマーの有効濃度を決定し、その結果をもとに長期投与を開始した。長期間投与の少数での結果ではRNAアプタマーによる、運動ニューロン死、TDP-43細胞内局在変化の改善、運動機能に対する有効性が確認できている。また、鎮静作用などの副作用が観られないことを確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
ALSモデルマウスを用いたRNAアプタマーの長期投与を検討数を増やし、病理学的組織および運動機能への効果を分析し、学会発表、論文化を予定している。
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Causes of Carryover |
今年度に使用した旅費を別の予算を使用したために旅費の使用がありませんでした。また、来年度は、実験にかかわる物品費・人件費などの費用の他、論文発表代、国内・国際学会参加のための旅費を予定しています。
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