2018 Fiscal Year Research-status Report
ジペプチドリピート蛋白による核内小体の異常に着目した運動神経細胞死の解明
Project/Area Number |
17K09749
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
横関 明男 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (90515719)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ALS / GGGGCC / ジペプチドリピート / 核内小体 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis, ALS)は,運動神経の変性,脱落により全身の筋萎縮を来たし,進行期には呼吸不全に至る致死性疾患である.ALSの発症に大きく関わっている蛋白であるTDP-43は,正常では核内に局在するが,ALSでは運動神経やグリア細胞の細胞質内にTDP-43の封入体を形成することが大きな特徴である.ALSには様々な遺伝子が発症に関与しており,その中で第9染色体上のC9ORF72遺伝子のGGGGCC配列の異常伸長が家族性ALS(FTDALS1)の原因であり,欧米で最も頻度の高い家族性ALSである.同家族性ALSは,孤発性ALSと同様にTDP-43の異常封入体を形成するため,C9ORF72遺伝子の解析は,孤発性ALSの病態解明につながると考えられる. 本研究は,異常伸長したGGGGCC配列がnon-ATG dependent translationによりdipeptide repeat(glycine-prorin(GP),glycine-alanine(GA),glycine-arginine(GR))の反復配列に翻訳され,翻訳されたpeptideが細胞死に関与するという仮説で研究を進めている.本年度は,昨年度に樹立したdipeptide repeatsをドキシサイクリン誘導により安定発現する細胞を使用し,研究者が着目している核内小体のうちの一つであるCajal小体を構成する蛋白質であるcoilin,NOLC1,WRAP53の発現を,GRの10リピートと100リピートでの違いを,定量PCRで比較した.いずれの蛋白もGR100リピートの方がGA10リピートと比較して,1.2~1.5倍に増加していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に作成したFlip-In systemによるdipeptide repeats発現細胞を用いた核内小体の細胞内動態の結果は,再現性のある結果を得ることができた.また,実験系が確立できたため,今後の実験において,検討項目の変更にも対応できると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度作成したdipeptide repeatsの安定発現細胞を使用して,Cajal小体の構成蛋白の変動をウエスタンブロットでの確認,Cajal小体の数の変更を行う.また,GRのdipeptide repeatを発現させると,様々な遺伝子の発現に影響を与えている可能性があるため,転写因子の挙動やTDP-43に対する直接的な影響も確認する.
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Causes of Carryover |
平成29年度に実施予定であった研究内容が,dipeptide repeatsの安定発現細胞作成で時間がかかり,同年での研究費執行が年度内に終わらず,平成30年度に繰越が行われた.その金額が平成30年度の予算に影響を与え,次年度に繰り越す結果となった.来年度は,研究計画の時点で計画していた各種実験が予定通り実施が可能であり,研究費を使用させていただく予定である.
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Research Products
(1 results)