2018 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病のタウ伝播と軸索変性でのグリアの役割解明とグリアを標的とした治療
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17K09757
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浅井 宏英 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (50510210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩雄 九州大学, 大学病院, 特任講師 (00701830)
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CD33 / ミクログリア / エキソソーム / 毒性アミロイドベータ / 病的タウ |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(AD)脳ではアミロイドβ沈着、病的タウ蓄積による軸索変性、ミクログリア・アストログリアの活性化が必発であるが、3者の関係性が不明なため根治薬が開発できていない。また、昨今、神経変性疾患における病的タンパクの伝播メカニズムについて相次いで報告されているが、最終的な結論には至っていない。新規ADリスク遺伝子と同定したアストログリア膜蛋白分子からの軸索変性シグナルの伝達機構を解明し、グリアを標的とした新規治療開発へつなげることを目的としている。 私たちはミクログリアが病的タウの貪食によりエキソソームを放出し、ミクログリアから放出されたエキソソームを介して神経細胞間の病的タウが伝播していくことを、アデノ関連ウイルスベクターを用いた局所的病的タウ発現マウスモデルを用いることにより証明した(Asai, et al, Nat Neurosci 2015)。さらに私たちは、さらに以下の知見を得ることができた。①、ミクログリアはタウだけでなく、毒性アミロイドベータも貪食する事を遺伝子組み換えマウスモデルを用いて証明した。②また、これらの貪食はアルツハイマー病の遺伝的要因として報告されているミクログリアの膜タンパクであるCD33により制御されている可能性を見出した。 また、マウス血液から、アフィニティーメンブレンを用いてエキソソーム抽出を行い、その中に含まれるmicroRNAを分離することができた。そして、次世代シークエンスを用いた、microRNAアレイ解析を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エキソソームの抽出を行い、microRNAのプロファイリング中であり、間もなく結果が判明する予定である。この結果により、病的タンパクの伝播メカニズムが予想できる。これを最終年度で検証し、さらなる詳細なメカニズムを明らかにできると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アルツハイマーマウス脳より抽出したエキソソーム中のタウ解析およびmicroRNAのプロファイリング結果より、アルツハイマー病の病態に深く関与している、特定のmicroRNAを同定できる。このデータも考慮しつつ、培養細胞や生体を用いた伝播実験などでさらなる解析を進める予定である。培養実験として、出生直後の野生型B6(P0) のprimary microgliaを培養し、siRNA(short interfering RNA)でCD33をsilencing(CD33KD)させた後に、APP-KIの胎生16日齢(E16)の primary neuronと共培養を予定している。共培養したあとprimary microgliaを回収し、ATPでexosomeを放出させ、超遠心(100,000g)で回収し、wild typeのE16のprimary neuronに負荷を行い、その変化を観察し、生化学的な解析を行う。その後、定位脳手術による生体を用いた伝播実験を検討している。
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Causes of Carryover |
動物実験計画書の承認や、遺伝子改変マウスの導入で時間を要したことから、次年度使用額が生じている。培養実験や生体を用いた実験に使用する予定である。
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