2017 Fiscal Year Research-status Report
TGF-beta阻害戦略によるサルコペニアの病態治療研究
Project/Area Number |
17K09767
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
大澤 裕 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80246511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西松 伸一郎 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (20222185)
村上 龍文 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30330591)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | サルコペニア / マイオスタチン / TGF-β |
Outline of Annual Research Achievements |
健康寿命を短縮する加齢性筋萎縮(サルコペニア)に対する治療法の開発は、超高齢化社会を迎えたわが国の課題である。われわれは、老化モデルKlothoマウスの骨格筋において、筋量を減少させるマイオスタチン/TGF-βの活性が亢進していることを明らかとした。また、その阻害化合物の投与によって、筋萎縮は改善して寿命が延長した。さらに、Klotho蛋白質自体に、広範なTGF-β阻害作用があることを発見した(未発表)。本研究は、交配によってマイオスタチン活性を阻害したKlothoマウスを作出して、骨格筋の網羅的遺伝子発現解析からマイオスタチン/TGF-βを起点とするサルコペニアの分子機構の解明を目指す。Klothoマウスと同様に骨格筋のマイオスタチン/TGF-β活性亢進が認められた超高齢野生型マウスに対して、阻害医薬Klotho-Fcを投与して、サルコペニアへの治療介入の突破口を開くことを目標とする。平成29年度は、老化モデルKlothoマウスに、マイオスタチン活性阻害マウスを交配しマイオスタチン活性阻害 老化モデルKlothoマウスを作出した。このマウスは、Klothoマウスより寿命が延長し、骨格筋では萎縮は改善しマイオスタチンシグナルが抑制されていた。Klothoのサルコペニア抑制効果が明らかとなった。現在、Klotho-Fcリコンビナント蛋白質の大量精製に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト腎芽細胞 HEK293 にKlotho の細胞外ドメインの3'末端側にヒトIgG1-Fcを繋いだプラスミドをトランスフェクションし一過性大量発現に成功した。現在、安定発現細胞株Klotho-Fc安定発現細胞株の作成とリコンビナント蛋白質の精製に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は、骨格筋遺伝子発現を網羅的に解析する。マイオスタチン阻害による発現変動遺伝子を、筋芽細胞にレトロウイルスベクター導入し筋管分化効果をin vitro解析、蛇毒障害前脛骨筋にプラスミド導入し筋肥大効果をin vivo解析し、マイオスタチン/TGF-βによるサルコペニア発症の分子病態を解明する。並行して、Klotho-Fc蛋白質を超高齢野生型マウスへ全身投与し、マイオスタチン阻害戦略によるサルコペニアの改善、寿命短縮の改善についての非臨床POCを取得する。
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Causes of Carryover |
平成29年度、マイオスタチン活性阻害マウスと老化モデルKlothoマウスの交配によるマイオスタチン活性阻害老化モデルKlothoマウスの作出が予想より加速し実現した。そのため当初は老化モデルKlothoマウス購入および系統維持に予定していた経費が、平成29年度使用額残高となった。これを、平成30年度に骨格筋遺伝子発現の網羅的解析(チップ)に使用する計画としている。
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Research Products
(6 results)