2018 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーと神経原線維変化:顆粒空胞変性とシアル化への注目
Project/Area Number |
17K09790
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山崎 恒夫 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (80200658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 佳生 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00282400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアルツハイマー病において,オートファゴソームの性質をもつ顆粒空胞変性とそこに存在するタウ蛋白のシアル化の程度と形態を明らかにすることを目的としている。オートファゴソーム関連蛋白はATGファミリーとしてすでに多数報告され,その抗体も複数作成されている。平成29年度までに,通常のホルマリン固定,パラフィン包埋切片を用いた免疫組織化学的検索で,反応性が安定して見出される抗体の種類,ならびに条件の検討を繰り返し,一部の抗ATG 9抗体が変性神経突起に局在することを確認した。今年度はさらに,他の抗ATG抗体の反応性を調べた。しかし,調べ得た限りの検体において,安定して免疫反応性が得られる抗体は見い出せなかった。これはおそらく,固定の条件によって抗原性の保持が不十分なためと考えられる。そこで,比較的安定的に反応が得られる抗ATG9抗体の反応と,他のアルツハイマー病関連蛋白との共局在を検索したところ,昨年度報告したリン酸化タウ以外に,アミロイド前駆体蛋白(APP)が完全ではないものの共局在を示すことを見出した。さらに抗C末APP抗体と抗N末APP抗体で検索を行うと両者と共局在することから,APPは全長型の形で存在していると思われた。 そこでさらに上記ATG関連蛋白とアルツハイマー病関連蛋白のヒト剖検脳を用いた検索に加えて,以前見出した神経原線維変化のシアル化を追加検討することとした。シアル化を含めた糖鎖修飾は本来細胞表面に生じるものであり,細胞内でかつ無包化の状態で凝集しているタウが修飾を受けていることは不自然である。そこで,以前用いたのとは別のエピトープをもつ抗シアル化抗体と他の抗糖鎖蛋白抗体を用いて,糖鎖修飾蛋白と神経原線維変化を含めたアルツハイマー病関連蛋白との関係性を現在検討途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光学顕微鏡レベルの形態学的研究は継続して行っているが,再現性のあるデータを得ることができていない。これは使用する検体が患者の死後脳であり,固定までの死後時間,固定の条件等が様々であり,抗原性の保持が一定でないことが最大の原因と考えている。予定している電子顕微鏡を用いた研究も光学顕微鏡の成果の上に行うものであり,いまだ条件の選定に手間取っている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き様々なオートファジー関連抗体を用いた免疫組織化学的検索を継続する。さらに電子顕微鏡的検索に適した資料を用いて,当初の計画どおり免疫電顕法を行いたい。また,研究実施計画に記した抗タウ抗体と抗シアル酸抗体による髄液タウのサンドイッチELISA法を検討したい。
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Causes of Carryover |
試薬等の物品購入費が当初の予算額を下回ったことと,予定していた海外出張を行わなかったため。 今年度は研究の方向性を修正することによる新たな試薬の購入等と成果発表のための出張費に助成金をあてたい。
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