2019 Fiscal Year Research-status Report
痛覚の脊髄運動調節機構への効果とその中枢性運動障害の機能回復過程への影響
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17K09796
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
森田 洋 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10262718)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小径線維 / 無髄線維 / 痛覚 / 脊髄反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
痛覚を伝導する末梢神経であるAδ線維及びC線維を選択的に刺激することで、痛覚刺激の脊髄反射経路への影響を観察した。正常者およびパーキンソン病患者を対象に、痛覚刺激の脊髄単シナプス回路への入力効果と、他の前角細胞への抑制性入力刺激に対する痛覚刺激効果を観察した。 脊髄単シナプス反射として記録した前角細胞群の活動性は脛骨神経刺激により誘発したヒラメ筋H反射の大きさとして定量した。最初にヒラメ筋H反射に足背への痛覚刺激を先行して加え、その条件刺激効果のTime courseを計測した。結果、足背へのAδ、C線維刺激はヒラメ筋H反射を促通する効果がみられ、その潜時はAδ線維では200-300ms程度、C線維では1000ms前後であった。また、その閾値は痛覚閾値程度であった。しかし、一部の被検者について全く異なるtime courseを示す例がみられた。特徴としては刺激に対する順応(痛覚を感じなくなる)が刺激を繰返す中で短時間で出現した。 抑制性入力と痛覚刺激が輻輳するかについての検討を行った。用いた抑制性入力は相反性Ia入力と、シナプス前抑制である。2シナプス性相反性Ia抑制は、拮抗筋に由来する前脛骨筋由来のIa線維を腓骨神経電気刺激を1-3ms脛骨神経刺激に加えることにより導出した。また、ヒラメ筋前角細胞へのヒラメ筋筋紡錘由来Ia入力終末へのシナプス前抑制は脛骨神経刺激によるD1抑制と、大腿屈筋腱叩打に誘発される抑制として導出した。これらの抑制性入力と足背痛覚刺激を同時に加えた際のH反射の変化量と、痛覚刺激および抑制性刺激をそれぞれ別個に加えた際の効果量の和を比較した。結果、足背への痛覚刺激によるヒラメ筋H反射への効果は、相反性抑制入力や腱叩打により抑制される可能性が示唆された。 パーキンソン病患者での検討では現時点では少数例にとどまるが、正常者と大きな差は見られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に異動となり、管理業務が増えた。さらに、同年11月から教員(センター構成員)が転出したため、その業務も全て担うこととなり、本研究にかかるエフォートを低下させざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
正常者および患者での計測を繰返すと共に、他筋での検査を行って行く。
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Causes of Carryover |
年度内に必要な機器の更新が想定よりも安価で賄えた。次年度、実験遂行プログラムの再修正を行い、また、成果発表の予定である。
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