2017 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋再生過程のバイオマーカーの確立とその臨床的有効性の検討
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17K09807
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
村田 顕也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90264853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 秀文 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20250061)
檜皮谷 泰寛 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (40405452)
森 めぐみ 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (60590437)
廣西 昌也 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80316116)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋再生の促進は、筋疾患の治療や高齢者の廃用性筋萎縮を予防する観点からも重要である。申請者らは、これまでカルパインやウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターが骨格筋再生の促進因子であることを世界にさきがけて解明してきた。また、筋成長阻害因子であるMyostatinとその受容体であるactvin receptor Type IIBの血清中動態が筋萎縮の病態把握に重要であることを証明した。 本研究では、Transient receptor potential (TRP) チャンネルファミリーの一つであるTRPV1の筋芽細胞増殖作用に注目し、筋再生を予測するバイオマーカーの開発をめざす。さらに筋萎縮を予防するリハビリ訓練法を確立し、高齢化社会で問題となるサルコペニアの予防に寄与したい。本研究の目的は、骨格筋再生のバイオマーカーを探索し筋疾患や廃用による筋萎縮を予防し、筋再生を促す治療法を確立することにある。 申請者らは、Transient receptor potential(TRP)チャンネルファミリーのひとつのTRPV1に注目した。各種筋疾患や筋損傷モデルマウスの生検筋を用いて病理学的・生化学的・分子生物学的に手法にてバイオマーカーとしての有用性を検討する。そして、筋萎縮モデルにTPPV1アゴニストを投与し、筋萎縮予防効果を検討する。また、高齢者の運動能力改善を目的に下肢筋萎縮を予防する等尺性運動プログラムを考案し、TRPV1をバイオマーカー として訓練を行う。次に、ゲーム理論を用い楽しみながら遂行できる体操運動プログラムを開発する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
デキサメタゾンを経口投与したステロイドミオパチーモデル、後脚をギブス固定した廃用性筋モデルを作製する。筋障害部にカプサイシンを投与し、筋力回復過程での運動量、運動負荷時の耐久力を臨床評価後下肢筋萎縮の程度を病理学的・生化学的・分子生物学的に解析し、その関連性を検討している。 体重支持指数0.4前後(通常歩行可能な程度)の健常高齢者を対象に下肢等尺運動の筋力増強プログラムを作成し、訓練を施行する。下肢筋力は等尺性筋力評価が可能なCybex®を用いて継時的に計測し、筋萎縮の評価は従来の各種画像検査に加えELISA法による血清中のTRPV1, カプサイシンをELISA法で定量的に評価し、筋力の増強の推移と比較検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
当科は約500例の凍結生検筋・血清の保存バンク(匿名化)を有している。治療介入した炎症性筋疾患150例を対象に ①罹病期間・筋萎縮・筋力低下の分布などの臨床特徴 ②血液検査・電気生理学的検査(針筋電図など)各種画像検査(骨格筋MRI, エコー)③治療 (ステロイド治療・リハビリテーション)反応性と機能予後を再評価する。
炎症細胞浸潤、筋壊死・再生の評価と筋線維直径の計測による萎縮筋の経時的変化や遅筋と速筋の筋線維タイプの存在比率を検討する。再生筋のマーカーや抗TRPV1 抗体、抗カプサイシン抗体を用い免疫染色を行い、発現パターンの経時的変化を検討する。 凍結生検筋をホモジェナイズし、抗TRPV1・抗カプサイシン抗体によるWestern blot法を おこない筋線維内の発現を蛋白レベルで検討する。 生検筋からRNAを取り出し、RT-PCR法にてメッセンジャーRNAレベルでTRPV1, カプサイシンの動態を解析する。解析は、リアルタイムPCRを用い内部コントロールとの比較し経時変化を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は、モデル動物の作製に手間取り、病理学的検討が十分になされていない。
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