2017 Fiscal Year Research-status Report
グルカゴン関連ペプチドの測定法の確立とそれらの病態生理学的意義の解明
Project/Area Number |
17K09831
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
南 幸太郎 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (80334176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横井 伯英 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (70311610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ペプチドホルモン / グルカゴン / 質量分析計 / 固相抽出法 / 免疫沈降法 / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プログルカゴンから産生される種々のグルカゴン関連ペプチドを対象として、質量分析計を用いた新規測定法を確立するとともに動物モデルやヒトのサンプルを用いた解析から正常および糖尿病状態におけるグルカゴン関連ペプチドの動態とその病態生理学的意義を解明することを目的としている。 平成29年度は、質量分析計を用いたグルカゴン関連ペプチドの測定法の確立を開始した。まず、血中および膵島のグルカゴン関連ペプチドを濃縮・精製する方法として、固相抽出法と免疫沈降法の両者を検討した。入手可能な固相抽出プレートとグルカゴンの標品を用いて吸着剤の種類と量、洗浄液や溶出液の種類と量について検討した結果、グルカゴン関連ペプチドを濃縮・精製するために最適と考えられる方法を確立した。また、グルカゴンを特異的に認識する入手可能なモノクローナル抗体を用いて免疫沈降法を検討した結果、グルカゴンの回収量が極めて少ないことがわかった。 次に、トリプシン消化しない丸ごとのグルカゴンの標品および固相抽出法により血液から濃縮・精製したグルカゴンをサンプルとして液体クロマトグラフ・トリプル四重極型質量分析計(LC-MS/MS)を用いて高精度に同定・定量する方法を検討した。まず、グルカゴンの標品をスパイクインした血漿サンプルを用いてLC-MS/MSによる分析パラメータなどを最適化した。さらに、固相抽出法により血中から濃縮・精製したグルカゴンの検出および定量に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究が進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度以降は、前年度に引き続き質量分析計を用いたグルカゴン関連ペプチドの測定法の確立を行うとともに、それらの動態と病態生理学的意義の解明を行う。まず、固相抽出法により血中および膵島のグルカゴン関連ペプチドを濃縮・精製する方法を検討し、最適な方法を確立する。次に、抽出したサンプル中のグルカゴン関連ペプチドを質量分析計(LC-MS/MS)により同定・定量するための分析パラメータの検討と最適化を行うとともに細胞株、膵島、動物モデルや臨床サンプルを用いた評価により、最適な分析条件を確定する。さらに、従来の免疫学的な測定法と本研究において確立した測定法の感度、特異性、定量性、頑強性、迅速性等について比較・検証を行う。 また、インクレチン応答性インスリン分泌が見られる膵β細胞株(MIN6-K8)およびインクレチン非応答性の膵β細胞株(MIN6-K20)、これらから作製した偽膵島、正常ラット、肥満ラット、糖尿病ラット等から単離した膵島を用いた分泌実験や個体レベルでの各種負荷試験時に採取した血液サンプルを収集する。さらに、健常者、糖尿病予備群、糖尿病患者など様々な耐糖能状態のヒトから採取した血液サンプルや糖負荷試験、食事負荷試験、アルギニン負荷試験時に採取した血液サンプルを収集する。これらのサンプルを用いて、従来の免疫学的な測定法と本測定法との比較・検証を行うとともに正常、耐糖能異常および糖尿病状態におけるグルカゴン関連ペプチドの詳細な動態を明らかにする。
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