2018 Fiscal Year Research-status Report
GDP型Rab27a変換機構の解明とインスリン分泌後のエンドサイトーシス
Project/Area Number |
17K09838
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
木村 俊秀 大分大学, 医学部, 准教授 (60404373)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病 / インスリン / 膵B細胞 / シグナル伝達 / プロテオーム / タンパク質 / 低分子量Gタンパク質 / Rab27a |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではRab27aをGDP型に変換するEPI64に着目し、その新たな結合パートナーであるGαの結合特性や役割を解析することでエンドサイトーシスの開始シグナルの解明を目指す。エンドサイトーシスは、インスリン分泌の量とタイミングを決めるために必須であり、その破綻は2型糖尿病の新たな原因となりうる。しかし、これまでの研究ではインスリンを放出するまでの過程を扱い、その後のステップを扱った研究は皆無である。本研究は、申請者が同定したGDP型Rab27aシグナルを解析することで、開口放出後のエンドサイトーシスシグナルの解明を行う。 本年度は、GaがEPI64を活性化するメカニズムを解析した。 まず、Gaには、2つのシグナル経路が備わっている。GTP型に変換されたGaと、Gaの変換によって解離し活性を示すGbrである。そこで、どちらの分子がPIP3産生を制御しているのかを調べた。具体的には、非刺激状態のMIN6細胞にGTP型やGDP型Gaを発現し、GaシグナルのPIP3産生への寄与を検討した。また、Gbrの寄与は、阻害剤Galleinを用いて検討した。次に、グルコースによるエンドサイトーシスに関与するPI3キナーゼの同定を試みた。さらに、MIN6細胞をグルコースで刺激し、同定したPI3キナーゼの細胞内動態を解析した。また、Gaのノックダウンや過剰発現、Gbr阻害剤がPI3キナーゼの細胞内動態に及ぼす影響を検討した。 以上の結果より、GaがEPI64を活性化するメカニズムが明らかになった。本研究成果は、次年度以降に行うGαの上流シグナルを解析する上で極めて重要であると共に、GDP型Gタンパク質によるシグナリングという意味からも基礎生物学上重要な知見である。従って、本年度の研究計画は、当初の計画以上に進展していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、EPI64とその結合タンパク質であるGαが、インスリン顆粒膜のエンドサイトーシスを制御する分子メカニズムを、以下に従って解明する予定であ る。 平成29年度:EPI64とGαの結合様式を解析する。 平成30年度:GαによるEPI64の活性制御機構を解析する。 平成31年度:Gαの上流シグナルを解析する。 本年度は、GαによるEPI64の活性制御機構を明らかにした。従って、本年度の研究計画は、当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、前年度の成果を基盤Gaの上流シグナルの解析を行う。 1) GDP型GaをリガンドとしたアフィニティカラムにMIN6細胞の抽出液をアプライし、結合タンパク質をマス解析により同定する。 2) 同定したレセプターとGaの結合を生化学的に解析する。 3) 同定したレセプターに加えて、Gaシグナルに関わる分子の各変異体やsiRNA、中和抗体をHEK293細胞に導入し、レセプターのグルコース応答性をGaの活性化を指標に検討する。 4) 同定したレセプターのsiRNAや変異体をMIN6細胞に導入し、Gaシグナルに関わる分子の細胞内動態やPIP3産生、エンドサイトーシスに及ぼす影響を共焦点レーザー顕微鏡と全反射蛍光顕微鏡で解析する。
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Causes of Carryover |
Gaの遺伝子導入は、当初想定していたアデノウイルスではなくリポフェクション法より実施した。そのため、次年度使用額が生じた。当該研究費は、翌年度以降の研究費と共に、Gaの結合タンパク質の探索にあてる予定である。
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Research Products
(3 results)