2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of genes specifically repressed in mature beta-cells of pancreas
Project/Area Number |
17K09843
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
西村 渉 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00334433)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 遺伝子 / 糖尿病 / 発現制御 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリンを分泌する膵β細胞の機能障害は、糖尿病の原因となる。本研究で我々は、成熟膵β細胞で通常抑制されている遺伝子の発現増強が、糖尿病における膵β細胞機能障害のメカニズムに関与する可能性について検討している。前年度までに我々は、(1) 4週齢の未熟な膵島と8週齢の成熟膵島について、また(2) 糖尿病モデルマウスdb/dbと対照のdb/mマウスの膵島について、さらに(3) 成熟β細胞のマーカー遺伝子であるMafa陽性細胞が蛍光を発するBACレポーターマウスの膵島のフローサイトメトリーにより分離したMafa陽性7-AAD陰性の成熟β細胞群とMafa陰性7-AAD陰性の膵島細胞群について、それぞれ網羅的に遺伝子発現解析施行した。その結果、成熟膵β細胞ではそれ以外の細胞に比べて、遺伝子発現がゲノムワイドに抑制されている事が明らかになった。成熟膵β細胞で有意に16倍以上発現が抑制されている分子群のうち、db/dbマウス膵島での発現は70%が有意に増強し、6%が有意に減弱していた。また、8週齢の成熟膵島で有意に2倍以上発現が抑制されている分子群のうち、db/dbマウス膵島での発現は67%が有意に増強し、1%が有意に減弱していた。また(1)~(3)のデータより、『成熟膵β細胞で発現が抑制され、糖尿病の膵島で発現が増強する』傾向が特に強い遺伝子群を抽出して解析したところ、60%が細胞外で何らかの機能を持っており、一方既知のbeta-cell disallowed geneは2%であった。逆に、成熟β細胞で有意に16倍以上発現が増強している分子群のうち、db/dbマウス膵島での発現は7.5%が有意に増強し、87.5%が有意に減弱しており、これらには既知の膵β細胞機能に重要な分子が多く含まれていたが、その64%は膵β細胞における機能が未知であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画では、遺伝子を改変した実験動物を使用する必要があるが、研究施設の変更に伴う動物実験施設への実験動物の搬入時に、依頼した凍結精子からの個体産生によるマウスのSPF化が遅れ、納期が遅延し、研究遂行に想定以上の時間を要したことが、主な理由である。実験動物は2019年11月に無事搬入され、現在繁殖中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MafAレポーターマウスの膵島や、通常ならびに糖尿病モデルの膵β細胞株INS細胞を用いて構築した機能アッセイ系により、上記の成熟β細胞で発現が減弱している分子について機能解析を進め、これら分子が膵β細胞障害のメカニズムにどのように関与し、膵β細胞障害の病態を反映するバイオマーカーとなり得るかについて明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究計画では、遺伝子を改変した実験動物を使用する必要がある。しかし研究施設の変更に伴う動物実験施設への実験動物の搬入時に、依頼した凍結精子からの個体産生によるマウスのSPF化が遅れ、納期が遅延し、研究遂行に想定以上の時間を要したことで、補助事業期間を延長した事が、次年度使用額が生じた理由である。実験動物は2019年11月に無事搬入され、現在繁殖中である。当該助成金は、これら動物や細胞株を用いた解析に使用される。
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Research Products
(16 results)