2020 Fiscal Year Annual Research Report
The role of pH sensors in bone metabolism
Project/Area Number |
17K09856
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
茂木 千尋 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (00375528)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | pH / Gタンパク質共役型受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨量(骨密度)は骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収のバランスにより調節され、ホルモンなど細胞外の要因に強い影響を受ける。骨代謝バランスにおいて細胞外のpH(H+濃度)も重要な役割を担うと考えられる。このことより、本研究は骨代謝においてOGR1ファミリー受容体はpHセンサーとして骨代謝を調節しうることを明らかにする目的で行った。 実際にOGR1は破骨細胞の一部の細胞で発現が確認されたが、骨芽細胞と破骨細胞以外の他の細胞でも発現がみられる。マウス細胞を用いた培養実験では、pH低下による骨形成に関わる活性(ALP活性)と破骨細胞を分化する活性(TRAP活性やRANKL発現)を評価した。培養液中でのpHの調整が難しくクリアな結果ではなかったが、OGR1が破骨細胞と骨芽細胞の機能を調節しうる可能性が示された。一方で、破骨細胞と骨芽細胞と、その分化誘導に用いたマウス骨髄細胞を含めた前駆細胞において、OGR1だけでなく、GPR4とTDAG8も発現しており、細胞の分化段階においてその発現量は変化した。そこで、GPR4ノックアウトマウスからの骨髄細胞からの破骨細胞と骨芽細胞も用いて培養実験を行ったが、その結果からは複雑なpH応答が示唆された。また、OGR1は細胞外のコバルトやマンガンといった金属イオンでも活性化されることが他のグループにより既に報告されているが、ヒト以外のOGR1受容体においてもその機能は保存されていることが明らかになった。このことは、金属イオンによりOGR1を介した骨代謝制御が行われている可能性を示唆し、新たな骨代謝調節因子として期待される。 本研究により、pH受容体が局所の酸性化を感知するセンサーとして、骨代謝調節に関わる仕組みの一部について明らかにした。将来的には骨粗しょう症などの治療につながることが期待される。
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