2018 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化ハイリスク高中性脂肪血症のin vivo分子機構解明と新規治療標的創出
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17K09858
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 啓明 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80610211)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 動脈硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
高トリグリセリド(TG)血症は、長らく動脈硬化の危険因子と認識されてきたが、高TG血症が直接的に動脈硬化を惹起する証拠は明らかではなかった。しかし、近年の遺伝疫学的研究から、少なくともある種の高TG血症--- apoA5などの遺伝子異常によるもの---は動脈硬化ハイリスクであることが明らかとなっている。しかしapoA5の異常がin vivoでどのようなメカニズムで高TG血症と動脈硬化を引き起こすのか明らかではない。 本研究課題では、A-1) apoA5異常による高TG血症のin vivoでのメカニズム解明、A-2) ヒトのapoA5異常症のin vivoでのメカニズム解明、B) apoA5異常による動脈硬化のメカニズムのin vivoでの解明、C) apoA5異常による高TG血症・動脈硬化の新規治療標的探索を行う。SREBP-1c阻害、apoA5過剰発現による治療可能性を示す予備的知見をもとに、動脈硬化惹起性高TG血症の新たな治療法開発を目指す研究である。 平成30年度は、A-1) apoA5異常による高TG血症のin vivoでのメカニズム:SREBP-1cの役割の解明、A-2) ヒトのapoA5異常症のin vivoでのメカニズム解明(apoA5変異体in vivo assay系確立)、を継続して探求し、その成果の一部をアメリカ心臓協会の学会誌に論文報告した。A-1の一部とA-2の検討は引き続き進めている。B) apoA5異常による動脈硬化のメカニズムのin vivoでの解明のためのin vivoモデル構築とその解析も順調に進めている。さらに、C) apoA5異常による高TG血症・動脈硬化の新規治療標的探索についても、microarray解析を利用した候補遺伝子のスクリーニングを予定通り進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動脈硬化惹起性高TG血症の発症メカニズムを明らかとし、その動脈硬化惹起性の分子メカニズムを解明し、動脈硬化惹起性高TG血症の新たな治療標的を同定するのが、本研究の目的である。近年の遺伝疫学的研究から、少なくともある種の高TG血症--- apoA5などの遺伝子異常によるもの---は動脈硬化ハイリスクであることが明らかとなっており、本研究課題では、apoA5遺伝子異常モデルを用いてこれらの解明をin vivoで行うことを目的としている。 本研究課題で目標としている、A-1) apoA5異常による高TG血症のin vivoでのメカニズム解明、A-2) ヒトのapoA5異常症のin vivoでのメカニズム解明、B) apoA5異常による動脈硬化のメカニズムのin vivoでの解明、C) apoA5異常による高TG血症・動脈硬化の新規治療標的探索、のうち、これまでに、A-1)においては、高炭水化物食や加齢などの生理学的条件において、SREBP-1cが中心的な役割を果たすことを明らかとし、アメリカ心臓協会の学会誌に予定どおり論文報告した。A-1)の一部とA-2)については、継続して探求をすすめる予定である。B)とC) の研究も順調にしており、平成31年度の研究項目でもあり、継続して検討をすすめている。 以上から、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討から、動脈硬化惹起性高TG血症の原因遺伝子、apoA5の遺伝子異常による高TG血症の発症メカニズムとして、加齢、高炭水化物食などの生理的刺激が加わると高TG血症が著しく増悪すること、その分子メカニズムとして、SREBP-1cが必須の役割を果たすことを解明し、論文報告した。 本研究課題では、A-1) apoA5異常による高TG血症のin vivoでのメカニズム解明、A-2) ヒトのapoA5異常症のin vivoでのメカニズム解明、B) apoA5異常による動脈硬化のメカニズムのin vivoでの解明、C) apoA5異常による高TG血症・動脈硬化の新規治療標的探索、を目的としている。 A-1については当初の計画通り、国際英文雑誌への論文報告も完了しており、今後はA-1の一部とA-2の検討を継続する。また、B、Cについても当初の研究計画通り研究を遂行する予定である。 具体的には、A-1) その他の環境負荷(他の高炭水化物食、高脂肪食等)や糖尿病モデル(STZ誘発性1型糖尿病、肥満高血糖モデル(ob/ob)との交配)での高TG血症におけるapoA5とSREBP-1cの役割を更に解明、A-2) apoA5のin vivo機能を、recombinant蛋白、組み換えアデノウィルス、アデノ随伴ウィルスベクター(AAV)による過剰発現モデルにより解明、B) apoA5欠損マウス、apoA5;SREBP-1c両欠損マウスを用いて、apoA5-SREBP-1c経路の動脈硬化における役割を解明、C) C-1) SREBP-1c経路阻害によるrescueを担う標的遺伝子の解明、C-2) アデノ随伴ウィルスベクター(AAV)でのapoA5過剰発現による動脈硬化治療の検討を、予定通り継続して進める。
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[Presentation] 難治性高トリグリセリド血症の発症機序 SREBP-1c-大型VLDL経路の重要な役割2018
Author(s)
岡崎 啓明, 高梨 幹生, 木村 武史, 李 騁騁, 田中 督記, 徐 鵬飛, 高瀬 暁, 岡崎 佐智子, 飯塚 陽子, 門脇 孝, Liang Guosheng
Organizer
第55回日本臨床分子医学会学術集会
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