2022 Fiscal Year Annual Research Report
Roles of Lysosomal Acid Lipase in Development of Coronary Artery Disease
Project/Area Number |
17K09859
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
野原 淳 金沢大学, 保健学系, 研究協力員 (50313648)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Lysosomal acid lipase / 家族性高コレステロール血症 / コレステロールエステル化率 / HMG-CoA-reductase阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
冠疾患リスクの遺伝疫学ではLIPA遺伝子は複数のGWASにて関連ありとされているが,そのタンパクの機能を表すLysosomal Acid Lipase (LAL)活性と冠疾患発症の関連する機序は十分に解明されていない.コレステロールエステル蓄積症(CESD)およびWolman病はLAL遺伝的完全欠損であるが,近年LAL酵素補充療法が著効することが報告されている. 成人期CESDでは,FHに類似する高LDL血症および動脈硬化性疾患,さらに脂肪肝を呈する.CESDは家族性高コレステロール血症(FH)が鑑別疾患に上げられ,実際本邦においても臨床的FH症例からの報告がされた.またCESDは脂質異常症を合併するNASHやNAFLDと認識されている場合もある. 我々は400例以上の冠疾患ハイリスク患者血液サンプルにおけるLAL活性を測定し,冠動脈造影施行症例においてはLAL活性と冠動脈硬化性所見は正の相関の傾向であることを見いだした.臨床像ではLAL活性が肥満やメタボリックシンドロームに相関していた.メタボリックシンドロームでは白血球増多を伴う事から,一つの要因でないかを検討したが白血球増多では説明されなかった.LAL活性の役割から想定されるFree cholesterolについての検討では,LAL活性と有意の負の相関を見いだしている.結果からは細胞内のコレステロールバランスは血中とは必ずしも一致しないことが示唆されている.HMG-CoA阻害薬投与前後での検討からはLAL活性はスタチンにより有意の変動を示しており,その有効性の一部を成している可能性がある.
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