2017 Fiscal Year Research-status Report
ゲノムコホートを用いた非アルコール性脂肪肝の統合的オミックス解析
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17K09864
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
岩本 禎彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (10232711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 和寿 自治医科大学, 医学部, 助教 (60724416)
宮下 洋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90301449)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝 / ゲノムワイド関連解析 / マウスモデル / 腸内細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
東洋人に多く検出される非肥満非アルコール性脂肪肝(lean NAFLD)は、より多くの遺伝要因を抱えているのではないかと予想し、平均BMI:21.7のlean NAFLD、181名をcaseとしてGWASを行った。対照群は、東北メディカルメガバンクの1273名のゲノムデータを用いた。その結果、13番染色体に有意な関連ピークを見出した。関連領域周辺にマップされた4遺伝子について、AAVベクターを用いてマウス肝臓でのノックダウンスクリーニングを行ったところ、1つの遺伝子の発現低下が、コリン・メチオニン欠乏飼料による脂肪蓄積を抑制することを見出した。強発現系ベクターを作製して検討した結果、逆に脂肪蓄積を増強することが明らかになり、肝臓での脂質合成系遺伝子群の発現亢進が認められた。そのメカニズムについて、現在、検討を行っている。 このGWAS解析では、caseの人数が少ないことが弱点である。この点を補強するためのreplication panel収集目的で、インフォームドコンセント下に新たな日本人集団3420名のリクルートを行った。参加者全てから、ゲノムDNAと腸内細菌叢ゲノムを採集した。このゲノムバンクからlean NAFLD 96名を抽出し、全ゲノムSNPタイピングを行った。現在、東北メディカルメガバンクの対照群についても例数を増やし、lean NAFLD 277例とのGWAS解析中である。 また、これまでの研究によって同定した脂肪肝関連遺伝子のモデルマウスを用いた検証実験を進めており、TRIB1については、膵β細胞においても糖・脂肪毒性に関わっている可能性を示すデータが蓄積されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画として挙げた到達目標の進捗状況は以下の通りである。 ①内臓脂肪蓄積レベルと健診データ、腸内細菌叢データ、生活習慣の付随したゲノムコホート集団の構築は、ほぼ目標通りの例数を収集・構築できた。 ②構築したゲノムパネルを用いた関連解析によるNAFLDの新規関連遺伝子の同定を、東北メディカルメガバンクとの共同研究で現在すすめているところであり、その結果に基づく別のゲノムパネルを用いた検証は、今後の課題である。 ③腸内細菌叢とNAFLDとの関連解析を行い、ホストゲノム多型との相互作用の検討については、3420名の腸内細菌メタゲノム・16sシーケンスを既に終了した。今後、健診データや様々な表現型との関連解析を予定している。 ④遺伝解析に基づいて同定されたNAFLD関連遺伝子のウイルスベクターやモデルマウスを用いた機能的検証ならびに関連する代謝パスウェイの探索については、遺伝解析の結果、速やかに開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題を達成するための材料は、この1年間で収集し終えた。今後は、これを用いた遺伝疫学解析、それを検証する実験研究を進めていく。具体的には、以下を予定している。 ①大規模ゲノムパネルを用いた集団遺伝的関連解析と遺伝解析に基づいて同定された新規NAFLD関連遺伝子のノックアウトマウスを用いた機能的検証ならびに関連する代謝パスウェイの探索:lean NAFLDのGWAS解析によって、有意水準(P=5×10-8)を超えるSNPのreplication解析を進めると共に、既に1候補遺伝子のノックアウトマウスを作成し終えたので、これを用いた実験的検証を行う。モデルマウスは、血清脂質や肝臓内脂質などの生化学的分析、病理学的解析とともに、エネルギー摂取や代謝の生理学的解析を行う。また、発現プロファイルによって明らかにした代謝パスウェイについては、その分子メカニズムを明らかにするため、分子間相互作用の探索を、プルダウン蛋白のMAS解析等によって行う。 ②腸内細菌叢データの附随したゲノムコホート集団を用いた統合的ゲノム解析:健診データとゲノムデータ、腸内細菌叢メタゲノムデータとをリンクさせ、統合的なデータベースを構築する。これをメタゲノム解析ソフトQiimeとPICRUSTを用いて解析することによって、腸内細菌叢に影響する因子を明らかにする。また、GWASで明らかにしたNAFLD関連遺伝子が、腸内細菌叢にも影響するかどうかについても、検討を加える。
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[Journal Article] Influence of AHRR Pro189Ala polymorphism on kidney functions.2017
Author(s)
Nakayama K, Saito S, Watanabe K, Miyashita H, Nishijima F, Kamo Y, Tada K, Ishizuka S, Niwa T, Iwamoto S, Shimizu H.
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Journal Title
Biosci Biotechnol Biochem.
Volume: 81
Pages: 1120-1124
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Effect on gene expression of three allelic variants in GATA motifs of ABO, RHD, and RHCE regulatory elements.2017
Author(s)
Fennell K, Hoffman R, Yoshida K, Iwamoto S, Govender L, Vather K, Sookraj A, Jentsch U, Pambrun C, McAuley C, Keller MA, Ochoa-Garay G.
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Journal Title
Transfusion
Volume: 57
Pages: 2804-2808
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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