2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of function of tumor suppressor gene MEN1 in non-endocrine tumor tissue.
Project/Area Number |
17K09873
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小澤 厚志 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10573496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内分泌 / 遺伝性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1型)の原因遺伝子MEN1は癌抑制遺伝子とされるが、翻訳蛋白meninの詳細な機能は不明である。私達は非腫瘍組織におけるmeninの機能解明の目的で、骨格筋に着目して研究を進めた。昨年までにMen1ヘテロ欠失マウス(Men1+/-)、野生型マウス (WT)を用いた解析で、膵組織では18週齢で既にラ氏島細胞の異形成を認めること、骨格筋は2群間で病理学的差異を認めないこと、12-18週齢までのMen1+/-とWTでは糖代謝試験の結果が週齢によって異なること、抽出したラ氏島細胞を用いたインスリン分泌刺激試験では低濃度グルコース刺激におけるインスリン分泌能には、2群間で有意差は認めないことを見出した。平成30年度は更に解析を進め、 (1)15週齢のMen1+/-とWTから摘出したヒラメ筋、長指伸筋よりRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイ解析に提出し、(2)(1)の結果を元にパスウェイ解析、GO解析を施行し、筋形成関連遺伝子群、糖代謝関連遺伝子群において2群間に大きな変動因子は認めないことを発見した。また(3)C2C12筋芽細胞株を骨格筋細胞に分化させる過程でMen1遺伝子及びmenin発現量をそれぞれqPCR法、ウェスタンブロット法にて解析したところ、筋芽細胞から骨格筋細胞に分化していく過程でmenin発現量が変動することが判明した。更に、(4)C2C12筋芽細胞株を骨格筋細胞に分化させていく種々の過程で、抗menin抗体を用いて蛍光顕微鏡で観察したところ、培養液の組成や、分化刺激によってmeninの発現局在が変化することが判明した。 更に、(5)Men1+/-とWTから摘出した骨格筋より蛋白質を抽出しウェスタンブロット法を用いて、糖代謝に関連するAS160蛋白の発現量を解析したところ、リン酸化されたAS160の発現量に有意差があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の研究として、1) 骨格筋由来のRNAを用いてのcDNAマイクロアレイ解析、2) 1)の結果を元にしたMen1+/-とWTの骨格筋において発現量が大きく異なる遺伝子(群)を同定、3) C2C12筋芽細胞株を用いて、筋芽細胞を骨格筋細胞に分化させる過程での、骨格筋組織の組織形成ならびに糖取り込みにおけるmeninの作用を確認、を予定していた。これらの計画のうち、3)は部分的達成にとどまったが、今年度は新たに筋芽細胞から骨格筋細胞に分化が進む過程でMen1遺伝子、menin蛋白の発現量が変動するという新知見と、さらにmeninの有無によって骨格筋における糖取り込みに関連する蛋白質のリン酸化に差異が生じるという新知見を得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、我々が想定していた骨格筋におけるmeninの機能とは異なる機能を示唆する結果が平成29-30年度の実験から明らかとなってきた。骨格筋での糖取り込み過程において、癌抑制蛋白meninがこれまでに想定されていない機能を有することが明らかとなりつつあり、まずは当初の計画通りにC2C12筋芽細胞株を用いて、筋芽細胞を骨格筋細胞に分化させる過程で、siRNA法にてmeninをノックダウンして、骨格筋組織の筋形成過程での変容の有無を組織学的に確認し、また骨格筋での糖取り込みにおけるmeninの作用を確認すべく、2-デオキシグルコース代謝速度の測定を行う。これらの研究結果をもとに必要に応じて、再度Men1+/-とWTにおける耐糖能の評価をin-vivoにて検討する。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画の一つとして、Men1+/-とWTマウスの下大静脈からインスリンを注入後に、骨格筋を摘出し、蛋白質およびRNA を抽出して、リアルタイムPCR法および各種抗体を用いてインスリン受容体下流シグナルの蛋白発現量解析を施行する予定だったが、平成30年度中はAS160蛋白発現解析のみしか施行できなかったため、他の遺伝子、蛋白の発現解析を施行するため次年度使用額が生じた。またC2C12筋芽細胞を用いた2-デオキシグルコース代謝速度の測定が必要となり、その実験費用が必要となったため。
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