2018 Fiscal Year Research-status Report
新たなゲノム創薬手法による新規2型糖尿病治療標的の同定
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17K09886
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
今村 美菜子 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00596124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 士郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50314159)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / ゲノム創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はゲノムワイド関連解析(GWAS)の成果を活用した新しいゲノム創薬手法を用いて同定された新規2型糖尿病治療薬候補(KIF11阻害薬、GSK3B阻害薬, AP-1阻害薬)を2型糖尿病モデルマウスに投与し、これらの薬剤のin vivoでの耐糖能改善効果を検証するものである。 2018年度は2017年度に引き続き上記の新規2型糖尿病治療薬候補の1つであるKIF11阻害薬の糖代謝改善効果に関する検討を行った。非肥満マウス(C57BL/6Jマウス)および肥満2型糖尿病モデルマウス(db/dbマウス)にKIF11阻害薬を投与し、耐糖能およびインスリン感受性に及ぼす効果を評価した。通常飼育下でのC57BL/6Jマウスのグルコース負荷試験およびインスリン負荷試験の結果からKIF11阻害薬投与は通常飼育の正常マウスの耐糖能には影響を及ぼさないと考えられた。一方、KIF11阻害薬を投与したdb/dbマウスの耐糖能は改善する傾向が観察され、インスリン感受性は有意に改善していた。肥満モデルマウスにおけるKIF11阻害薬のインスリン感受性改善効果の分子機序を解明するため、インスリンの標的臓器の1つである肝臓に着目し、マイクロアレイを用いて肝組織における網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、KIF11阻害薬投与による有意な発現変動を示す355個の遺伝子が同定された。現在はマイクロアレイデータを用いたパスウェイ解析およびGene Set Enrichment Analysis(GSEA)を行うことでKIF11阻害薬の耐糖能改善効果の詳細な分子機序の解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度はマウスモデルを用いたKIF11阻害薬の耐糖能改善効果の検討を重点的に行い、非肥満および肥満モデルマウスを用いた検証が実施された。その結果、肥満マウスにおける耐糖能改善効果が示され、さらに摘出臓器を用いた網羅的な遺伝子発現解析による詳細な分子機序の解明にも着手している。以上のことからKIF11阻害薬の検討については順調に進展していると考える。GSK3B阻害薬, AP-1阻害薬を用いた検討が遅れているが、KIF11阻害薬に耐糖能改善効果が観察されたことにより、分子機序の解析を優先させたことが理由である。よって、本研究課題の進捗はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
KIF11阻害剤投与による耐糖能改善効果については、非肥満マウスモデルを用いた検討は十分に行われたが、肥満モデルマウス(db/dbマウス)における効果については解析するマウスの数を増やして検証を行う必要がある。また、マイクロアレイ解析の結果を元に詳細なKIF11阻害剤による耐糖能改善効果の詳細な分子機構の解明を進める。 また、GSK3B阻害薬およびAP-1阻害薬のマウスへの投与を行いこれらの薬剤の糖代謝改善効果の検討を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)2017年度は動物実験計画が当初の予定よりやや遅れたため、当初計画していたマウスの購入および試薬購入のための物品費の一部を2018年度に繰り越すこととなった。2018年度はほぼ当初の予定どおりの使用額であったため、2017年分の未使用額に相当する額を2019年度に繰り越すこととなった。 (使用計画)次年度使用額および2019年度予定所用額を合算した額を、2019年度の研究計画遂行のために使用する予定である。
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