2017 Fiscal Year Research-status Report
質量分析イメージングと標的プロテオミクスによるステロイドホルモン産生異常の解析
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17K09887
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
秦野 修 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40164850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 浩之 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (40609393)
大西 健 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50152195)
三宅 牧人 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80601400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ステロイドホルモン / 質量分析イメージング / ステロイド合成酵素 / コムギ胚芽無細胞タンパク質合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ステロイドホルモンは、通常の非誘導体化・質量分析MALDIイメージング法では、目的領域を含む低m/z領域にマトリックス由来の多数のバックグランドピークが検出されたが、本研究では、ステロイドホルモン(中のケトン基)を誘導体化してイオン化効率を高めることにより、誘導体化ステロイドの強いm/zピークが得られ、組織切片上の2次元質量分析イメージング検出が可能となった。副腎凍結切片上のステロイドホルモンは、GirT試薬によるon-tissue誘導体化により、強いイオン化シグナルが得られ、MALDI型質量分析機FT-ICR MS(超高質量分解能, R:100万)を用いることによって、m/z 値±0.001程度の精密さで、GirT誘導体化されたCorticosterone, 11-DHC など、5種の代表的なステロイドホルモンの質量分析イメージング像が、副腎皮質の束状層、網状層などの各層に得られた。又、0.001ダルトン程度の極めて精密な信頼すべきm/z値が得られたことによって、未知のm/zピークを含めた各検出成分の化学組成式が推定された。未知のm/zピークは、副腎の球状層、束状層、網状層、髄質などに、各々、特有の空間分布を示し、推定された化学組成式から、新たな未知ステロイド等の検出にもつながると考えられる。今後、より高感度、高空間解像度でのステロイド類を検出する条件を開発し、ステロイド合成酵素群の発現との関連等について解析していきたい。又、ステロイドホルモン合成酵素群(8種)をcDNAよりコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系を用いて合成し、抗Hisタグ抗体による発現確認と精製後に、トリプシン分解によりペプチド断片化を行った後に、質量分析・MALDI/ESI法で高感度に検出されるペプチド断片の同定を行なうことによって、ステロイド産生関連タンパク質の質量分析解析法の開発の準備を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ステロイドホルモンの質量分析イメージング法の開発を行い、又、更なる検出感度向上のための条件検討を行っているため。又、ラット、ヒトのステロイドホルモン産生関連酵素群のタンパク質に関して、コムギ胚芽無細胞合成系等を用いて、cDNAよりタンパク質合成を行ない、ステロイド産生関連タンパク質の質量分析解析法の開発の準備を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
副腎、精巣、卵巣等の組織切片上でのステロイドホルモンの質量分析イメージング法の、より高感度、高空間分解能での検出方法の改良を行う。この目的のため、より高効率な誘導体化条件の検討や、高空間分解能のサンプル前処理法、SALDI法との組み合わせ、MALDIレーザー照射条件など、種々の至適条件を検討する。又、ステロイドホルモン産生関連酵素群の質量分析検出法の開発を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:年度末に無理に全額を使い切るのでなく、次年度予算と合わせて、予算をより有効に使用するため。次年度使用額の使用計画:消耗品に使用する。
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Research Products
(2 results)