2019 Fiscal Year Research-status Report
質量分析イメージングと標的プロテオミクスによるステロイドホルモン産生異常の解析
Project/Area Number |
17K09887
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
秦野 修 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40164850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 浩之 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (40609393)
大西 健 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50152195)
竹森 洋 岐阜大学, 工学部, 教授 (90273672)
三宅 牧人 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80601400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 塩誘導性キナーゼ / SIK / 標的プロテオミクス / ステロイドホルモン / 卵巣 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ステロイドホルモン生合成を含めて、多様な表現型異常に関与する塩誘導性キナーゼ(SIK1,2,3)の機能解析をする目的で、SIKに結合する因子の探索を行った。最初に、ヒトSIK3タンパク質の無細胞合成を行い、ビオチン化処理の後に、SIKに結合することが既知のタンパク質4種について結合実験を行った。既知SIK結合タンパク質(CRTC1、CRTC2、HDAC4、HDAC5)をFLAG-GSTを融合させた形で小麦胚芽無細胞合成を行い、Western blottingにより合成確認の後に、ビオチン化SIK3との結合実験を AlphaScreen法により行ない、4種共にSIKタンパク質との結合が確認された。次に、ヒト転写因子群(約1300種)、及び、プロテインキナーゼ群(約500種)を網羅的に含むヒトタンパク質アレイ(約4000種)から、SIKに結合する因子のスクリーニングを行なっている。 一方、卵巣の生殖機能におけるSIKの役割を探索する目的で、SIK3欠損マウスの卵巣の解析を行っている。SIK3欠損メスマウスは不妊で、卵巣は、野生型マウスの卵巣に比べて小さかった。組織細胞レベルでは、卵胞内出血がしばしば認められ、黄体の形成を認めず、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)様の症状を認めた。又、卵巣における3種のSIK種(SIK1,SIK2,SIK3)の組織内発現を比較したところ、各SIK種により異なる分布パターンが認められ、顆粒層細胞では SIK3とSIK2は、SIK1より多量の発現を認めた。卵巣生殖機能において、下垂体ホルモンによる過排卵処理等により、SIK2は排卵に阻害的に、SIK3は促進的に働くことが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SIK3結合タンパク質をコムギ胚芽無細胞合成し、SIK3に結合するタンパク質因子のAlphaScreen法による結合アッセイ系を構築し、又、標的プロテオミクスとして、網羅的なヒト転写因子群(約1300種)、及び、プロテインキナーゼ群(約500種)を含むプロテインアレイ(約4000種)から、SIK3に結合する因子のスクリーニングを行なっており、予備的にSIK3に非常に強く結合するタンパク因子群を見出しているため。又、3種のSIK種の卵巣生殖機能における役割を、卵巣組織や培養細胞を用いて解析しており、SIK3欠損マウスの卵巣では、排卵障害、黄体形成不全、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)様の病態などを見出しているから。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したAlphaScreenアッセイ条件とヒトプロテインアレイを用いて、SIK3の相互作用タンパク質の探索を進める。ヒトプロテインキナーゼ群(約500種)、転写因子群(約1300種)を含む約4000種のヒトタンパク質群を搭載したプロテインアレイと SIK3をAlphaScreen法で総当たりで反応させ、強い結合相互作用を有するタンパク質群を同定する。これにより、SIK3と特に強く結合するタンパク質を同定し、更に、それら強結合タンパク質群と、SIK1,SIK2との相互作用を解析することにより、各SIK種と結合するタンパク質の種類と結合強度の比較から、SIK種間の機能の相互関連について推察する。又、SIK阻害剤の効果についても解析したい。
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Causes of Carryover |
研究期間延長に伴い、経費の一部を次年度に繰り越す必要が生じたため。次年度使用額は消耗品等に使用する。
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Research Products
(3 results)