2019 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of the causative gene and analysis of its role in glucose metabolism in antiobesity and high glucose tolerance mice.
Project/Area Number |
17K09893
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐藤 貴弘 久留米大学, 付置研究所, 准教授 (50368883)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | CREBBP |
Outline of Annual Research Achievements |
抗肥満高耐糖能マウスは、突然変異によって偶発的に出現した矮小変異マウスである。これまでの解析から、このマウスは安静時の血糖値が低く、高い耐糖能を示すこと、また、高脂肪食を負荷しても肥満しにくいことなどがわかっている。このように高耐糖能と抗肥満を特徴とするマウスであることから、新しい系統として樹立し機能解析を進められれば生活習慣病の発症や病態の理解につながる可能性がある。そこで本研究では、抗肥満高耐糖能マウスの責任遺伝子を決定し、糖脂質代謝の特徴を明らかにすることを研究目的とした。これまで、遺伝子マッピング法と次世代シークエンシング法により得られた結果をバイオインフォマティクスを用いて統合解析し、変異箇所を絞り込んできた。この方法で抽出された責任候補遺伝子の変異を、野生型マウスのC57BL/6Jマウスに人為的に導入して確認したところ、抗肥満高耐糖能マウスの責任遺伝子は第16番染色体上のCrebbp遺伝子であることが決定された。すなわち、この遺伝子に生ずる一塩基欠損がフレームシフトを引き起こし、このため、抗肥満高耐糖能マウスに見られる、矮小形質をはじめとした異常形質が生じることが明らかとなった。また、このマウスを系統として樹立して機能解析を進めたところ、糖脂質代謝を調節する多くの遺伝子発現に変化が見られたが、特に、骨格筋において脂質代謝関連遺伝子の発現量が減少していた。このように、本研究によって抗肥満高耐糖能マウスの責任遺伝子を決定することができたことから、今後、新たな創薬ターゲットの発見や治療戦略の創出に繋がる研究の展開が期待される。
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