2018 Fiscal Year Research-status Report
Cushing病におけるUSP8変異体標的蛋白を介したシグナル伝達異常の解明
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17K09895
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
竹下 章 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (20322646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 靖博 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (50202164)
山田 正三 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (80260131)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | クッシング病 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】Cushing病下垂体腺腫では、脱ユビキチン化酵素USP8遺伝子の体細胞変異が高率に認められるが、その分子機構はいまだ不明である。我々はこれまで、USP8変異を持つ腫瘍は女性で2cm以下の小さな腫瘍に多くPOMC発現が高い、一方、野生型の腫瘍は大きく浸潤性の強い腫瘍に多く、POMC発現が低いことを報告した。今回我々は、USP8変異の有無で変化する遺伝子を、DNAマイクロアレイを用いて検討した。 【方法】USP8変異陽性(MUT)の典型例3例と野生型(WT) の典型例3例の腫瘍RNAを用いてDNAマイクロアレイを行い、遺伝子発現プロファイルを比較した。2群間で発現様式の異なる遺伝子を選び、50例(MUT16例、WT34例)の腫瘍RNAを用いてリアルタイムPCRを行い検証した。 【結果】MUTが2倍以上(p<0.05) の遺伝子は1,128個、 一方、MUTが1/2以下(p<0.05) の遺伝子は288個であった。パスウェイ解析によりMUTで特定の時計遺伝子群とMAPK系に高発現する遺伝子が認められた。時計遺伝子, MAPK, cell cycle関連遺伝子など計42の遺伝子のリアルタイムPCRを行い28遺伝子にPOMC発現とR>0.3の相関を認めた。時計遺伝子のBMAL1とMAPK系のPRKACAの発現量にはR=0.772と高い相関が認められ、さらに下流のPRKACAとMAP3K5、MAP3K5とMAPK13、MAPK13とPOMC発現にR=0.5前後の中等度の相関が認められ、POMC発現に時計遺伝子~MAPKパスウェイ(PRKACA~MAPK13)を介した経路が示唆された。また腫瘍サイズと関連するcell cycle関連遺伝子を2個同定した。 【考察】Cushing 病はACTH概日リズムの消失による過剰分泌を特徴とするが、USP8変異と関連し、時計遺伝子の過剰発現を介したMAPKの活性化が想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスACTH産生下垂体腫瘍細胞株(AtT-20細胞)に電気穿孔法によりUSP8を強制発現することに成功したが、POMC発現はむしろ低下するなど、ヒトの腫瘍とは表現形が異なる可能性が考えられた。 このためヒト腫瘍組織用いたプロテオーム解析が可能かどうか検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
クッシング病下垂体腺腫・腫瘍組織におけるPKA-MAPKや時計遺伝子の発現を免疫染色にて蛋白レベルで検討し、ACTH概日リズムの消失やACTH産生腺腫におけるシグ ナル伝達ネットワーク機構異常を解明する。 またUSP8変異陽性および陰性の腫瘍組織用いたプロテオーム解析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度にプロテオーム解析を計画し、予算が増えたため。
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Research Products
(5 results)