2017 Fiscal Year Research-status Report
高感度シングルセル解析を用いたヒト造血幹細胞分画の層別化
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17K09906
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 康雄 九州大学, 大学病院, その他 (90573345)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / CD35 / 補体系 |
Outline of Annual Research Achievements |
健常骨髄・臍帯血よりマルチカラーFACSでソーティングした造血幹細胞(HSC)分画を用いて、細胞表面抗原の網羅的発現解析を行った。HSCとそのすぐ下流に存在する多能性前駆細胞分画(MPP)を比較して、高発現(FACS蛍光強度 2倍以上)している分子を検索したところ4分子に絞られた。このうち高発現が再現性を持って確認され、遺伝子発現解析でも同様の結果が得られたCD35分子に着目した。CD35はHSC分画の15-40%程度に発現が見られ、MPP→CMP→GMPでは発現していなかった。一方で赤芽球/巨核球系前駆細胞(MEP)分画の50-80%程度にCD35が発現していることから、当初CD35+HSCはHSC分画内に存在する最も未分化なMEP集団と想定したが、in vitroでの解析ではCD35-HSCと同様に全細胞系統への分化能が示された。シングルセル遺伝子発現解析でも、CD35+HSCはCD35-HSCと同様に系統特異的遺伝子の発現は極めて低レベルに留まっており、MEPとは明らかに異なる遺伝子発現パターンを有していた。さらにin vivoでの解析 (異種移植・継代移植)やcell cycle assayなどの結果から、CD35+HSCはCD35-HSCに比して、dormantな状態を保持しながら必要時には高い造血再構築能を有するという「幹細胞性」の特徴をより強く有する細胞分画であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度目標であったHSCの層別化候補分子の同定に成功し、その機能解析(in vivo/in vitro)まで当該年度に完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は予定どおりに進捗しており、このままCD35+HSCの機能解析を進めヒト造血分化モデルにおける位置づけを明らかにしていく。CD35が補体制御蛋白であることから、HSC分画におけるCD35発現の意義に関しても検討を加える予定としている。
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