2019 Fiscal Year Annual Research Report
Function of Foxp2 in the maintenance of hematopoietic stem cells.
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17K09907
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
細川 健太郎 九州大学, 医学研究院, 講師 (90569584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 文用 九州大学, 医学研究院, 教授 (90365403)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 細胞周期 / Foxp2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度申請者は造血幹細胞(HSC)のFoxp2を介した未分化性維持機構を解明するため、引き続き①Foxp2欠損マウスを用いた生理的条件下におけるHSCの表現型解析、および②ストレス環境下のHSCにおけるFoxp2の機能解析を行った。①生理的な条件下においてHSCの表現型を解析するため、造血細胞特異的にFoxp2を欠損するコンディショナル欠損(cKO)マウスを用いて網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、欠損マウス由来HSCでは、酸化的リン酸化、ミトコンドリア呼吸鎖に関連した遺伝子発現が亢進しており、ミトコンドリアを介したエネルギー代謝が活性化していることが示唆された。このことは、欠損マウス由来HSCにおけるミトコンドリア膜電位の増強や活性酸素種の増加を裏付けるものであると考えられる。また、古典的b-cateninシグナルや炎症応答に関連した遺伝子発現の亢進や、幹細胞マーカーの発現減少が見られた。このことは、前年度見いだしていた、cKOマウス由来HSCの細胞周期の静止状態の維持が障害されているという結果とも合致している。このようなcKOマウスのHSCを移植したところ、骨髄再構築能がコントロールと比較して有意に低下することが分かった。②生体でHSCの細胞周期の静止機構におけるFoxp2の機能を明らかにするため、cKOマウスに対して5-フルオロウラシル(5-FU)の連続投与により断続的な骨髄抑制を行ったところ、コントロールでは連続投与後も約50%のマウスの生存が確認できたが、cKOマウスでは2-3回の投与により生存できないことが分かった。このことは、cKOマウスでは骨髄抑制後の一時的な細胞周期の活性化が戻りにくい結果とも関連していることが示唆された。 以上の結果から、Foxp2は定常時において幹細胞の静止期の維持に寄与し、骨髄抑制時のHSCの静止状態の回復にも機能することが示唆された。
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