2017 Fiscal Year Research-status Report
CML患者において治療中止に有利なNK免疫に関するバイオマーカーの探索
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17K09908
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
木村 晋也 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 寿彦 佐賀大学, 医学部, 講師 (30363097)
久保田 寧 佐賀大学, 医学部, 病院講師 (60570413)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / NK 細胞 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の行った第二世代 ABLチロシンキナーゼ阻害剤 (TKI) ダサチニブの中止試験(DADI Trial)の結果から、TKI 中止成功にNK免疫が関与していることが分かった(Lancet Haematology 2015)。そこで佐賀大学医学部附属病院で治療を行った76人の慢性骨髄性白血病 (CML) 患者の NK細胞のkiller cell immunoglobulin-like receptor (KIR) と HLAの遺伝子多型を次世代シークエンス (NGS) を用いて解析し、KIR および HLAの遺伝子多型、さらに KIR/HLA の組み合わせによって、TKIの効果に差があるかについて検討した。TKIの効果評価は、治療開始後2年の時点で bcr-abl mRNAが検出感度以下となる deep molecular response (DMR) 達成の有無で行った。その結果、第2世代TKIの使用患者と女性患者において、統計学的有意にDMR達成率が高かった。そのため、以後の解析では本2項目の影響を排除する統計学的手法を用いた。CML患者の NK 細胞の KIR 遺伝子が、KIR2DL4*008 または 011/00501, KIR2DS4*00301 または007/010 または 015 および KIR3DL1*005 を有する場合、有意に治療開始 2年時点での DMR 達成率が高かった。そしてこれらDMR達成に有利なKIR遺伝子多型は、同じハプロタイプに属していた。これらの結果から、TKIsに対し効果の高い super responder となる日本人は約 10% 存在することが推測された。以上、CML患者の KIR遺伝子多型が TKIs の治療効果予測のバイオマーカーとなる可能となることが示唆された。本研究結果は、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究助成を受けた最初の年度内に、申請テーマに関する論文投稿ができたことから、順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、DMRに達する率でTKIsの効果を評価してきた。今後、治療中断の成功(treatment free remission; TFR) 率を解析因子に加え、NK KIR 遺伝子多型が TFR 予測因子になるか検討していく。現在まだTFRを解析因子にできていない理由としては、今回解析対象とした患者のうち、いまだ全員がTKI中止後1年を経過していないためである。またNGSはコストが高いため、我々が開発してきた quenching probe 法を用いた遺伝子解析装置 (i-densy) で KIR3DL1*005 を有するか否かを安価に全自動測定できる系を確立する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では佐賀大学以外の症例も集積し、解析予定であったが、臨床試験に登録されている患者であり、臨床試験がまだ完了していないため、そのデータを辞了することができなかった。そのため頭蓋助成金が生じてしまった。H30年度には臨床試験も完了するため、当該助成金を利用し、解析にあてる。
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Research Products
(1 results)