2018 Fiscal Year Research-status Report
ヘパリン起因性血小板減少症の免疫反応特異性解明とそれに基づく最適診断法の開発
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17K09912
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
宮田 茂樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (20239411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 琢磨 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20713126)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | HIT / 血栓塞栓症 / HIT抗体 / 診断法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)に対する世界有数の大規模データベースとなったHIT疑い患者全国登録調査を活用し、独自のエビデンスを用いた、より明確なHIT診断法の策定にある。 <HIT全国登録調査>従来の臨床診断法に反映されていない患者重症度を考慮に入れた診断法がより有効である可能性が高いため、様々な疾患領域で、臨床的にHITが疑われた症例のレジストリーを継続した。平成30年度末までに、全国324施設から832症例のHIT疑い患者の登録、ベータベース化を終了した。探索用データベースを解析し、検証用データベースを用いて検証できる体制を構築した。 <HITにおける免疫応答特異性の明確化>HITにおけるimmune reactionの特異性をより明確にするため、患者重症度とHIT抗体のseroconversion率の関係の詳細を検討するmulticenter prospective cohort studyを実施し、全国6施設から192症例の登録を終えた。患者情報のデータベース化が終了し、現在解析を行っているが、外傷重症度スコア(ISS)で15以下、16~24、25以上の3群に分けた場合、重症度が高いほどHIT抗体のseroconversion率が有意に高いことを明らかにした。論文作成中である。 <新たな機能的測定法の開発>HIT抗体に感受性の高い血小板を恒久的に作成することで、どこでも普遍的に実施できる新たな機能的測定法の開発を検討している。 <本邦の現状に合ったより最適なHIT診断指針の確立>本邦におけるデビデンスに配慮しながら、日本血栓止血学会HIT部会において、1990年から2018年末までのHITに関する文献のsystematic reviewを実施し、エビデンスに基づいた本邦におけるHIT診断指針に関するガイドラインの策定作業を行い、広く公開予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
<HIT全国登録調査>従来の臨床診断法に反映されていない患者重症度を考慮に入れた診断法がより有効である可能性が高いため、心臓血管外科やPCI施行患者、外傷、血液透析患者、血栓塞栓症の治療、予防の目的など、様々な疾患領域で、臨床的にHITが疑われた症例のレジストリーを継続した。平成30年度末までに、全国324施設から832症例のHIT疑い患者が登録され、ベータベース化を終了した。探索用データベースを解析し、検証用データベースを用いて検証できる体制を構築した。また、患者血清を新たな機能的測定法の開発に利用できるよう倫理委員会の承認の上、患者同意を得て、収集した。 <HITにおける免疫応答特異性の明確化>HITにおけるimmune reactionの特異性をより明確にするため、患者重症度とHIT抗体のseroconversion率の関係の詳細を検討するmulticenter prospective cohort studyを実施し、全国6施設から192症例の登録を終えた。患者情報のデータベース化が終了し、現在解析を行っているが、外傷重症度スコア(ISS)で15以下、16~24、25以上の3群に分けた場合、重症度が高いほどHIT抗体のseroconversion率が有意に高いことを明らかにした。論文作成中である。 <新たな機能的測定法の開発>HIT抗体に感受性の高い血小板を恒久的に作成することで、どこでも普遍的に実施できる新たな機能的測定法の開発を検討している。 <本邦の現状に合ったより最適なHIT診断指針の確立>本邦におけるデビデンスに配慮しながら、日本血栓止血学会HIT部会において、1990年から2018年末までのHITに関する文献のsystematic reviewを実施し、エビデンスに基づいた本邦におけるHIT診断指針に関するガイドラインの策定作業を行い、広く公開予定。
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Strategy for Future Research Activity |
<HIT全国登録調査>従来の臨床診断法に反映されていない患者重症度を考慮に入れた診断法がより有効である可能性が高いため、様々な疾患領域で、臨床的にHITが疑われた症例のレジストリーを継続した。平成30年度末までに、全国324施設から832症例のHIT疑い患者が登録され、ベータベース化を終了した。探索用データベースを解析し、今後、検証用データベースを用いて新たな臨床診断法の有効性を検証する予定。また、患者血清を新たな機能的測定法の開発に利用できるよう倫理委員会の承認の上、患者同意を得て、収集した。これを用いて新たな機能的測定法の開発につなげる予定。 <HITにおける免疫応答特異性の明確化>HITにおけるimmune reactionの特異性をより明確にするため、患者重症度とHIT抗体のseroconversion率の関係の詳細を検討するmulticenter prospective cohort studyを実施し、全国6施設から192症例の登録を終えた。患者情報のデータベース化が終了し、現在解析を行っているが、外傷重症度スコア(ISS)で15以下、16~24、25以上の3群に分けた場合、重症度が高いほどHIT抗体のseroconversion率が有意に高いことを明らかにした。HIT抗体産生におけるimmune reactionの規定因子の詳細についてさらに検討する予定。 <新たな機能的測定法の開発>HIT抗体に感受性の高い血小板を恒久的に作成することで、どこでも普遍的に実施できる新たな機能的測定法の開発を検討している。上記、全国登録調査で収集した患者血清を用いて、感度、特異度の最適化を図る。 <本邦の現状に合ったより最適なHIT診断指針の確立>日本血栓止血学会HIT部会において、エビデンスに基づいた本邦におけるHIT診断指針に関するガイドラインの策定作業を行い、広く公開予定。
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Causes of Carryover |
HIT抗体の測定が、次年度までまたがって実施することとなったため。
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Research Products
(5 results)