2017 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫の骨病変におけるIL-34の作用機序解明と治療応用に向けた研究
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17K09913
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 浩三 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 客員研究員 (20624795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 研一郎 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (20312845)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IL-34 / 多発性骨髄腫 / 骨破壊病変 / Osteoclastgenesis |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性骨髄腫(Multiple Myeloma : MM)は全身に多様な臨床的特徴を示す造血器系腫瘍であるが、近年、プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬など多彩なターゲット治療薬の開発により患者の長期予後は改善されてきた。一方で、MMの主徴候である骨溶解については未だ有効な治療法がなく、高齢者層では知覚障害や運動麻痺など骨関連事象を生じている。MMの骨破壊病変は骨髄の破骨細胞抑制因子OPGと破骨細胞活性化因子RANKLの平衡破綻と共に間質細胞や活性化T 細胞を介したOsteoclast activating factors (OAF)の刺激や、M-CSFの作用が破骨細胞分化の機序とされてきた。しかし、M-CSF受容体CSF-1Rのセカンドリガンドとして新規に発見されたIL-34(Lin et al. Science 2008)は、M-CSFと比較し著しい破骨細胞分化誘導活性を有することが、我々の先行研究で示された。本研究では、IL-34の破骨細胞誘導能の検証(Ⅰ)とOAFとの関与につき探索(Ⅱ)を行った。 Ⅰ.マウスMM細胞(MOPC315.BM)について、IL34-knock down(IL-34KD)株を作製し、マウスMMモデルに供して、頭蓋骨、脊椎、大腿骨の骨密度(μCT)および破骨細胞数評価(TRAP染色)を行ったところ、野生株と比較し骨密度の低下や破骨細胞増加を認めなかった。また培養下でIL-34KD株はマウス単球細胞の破骨細胞分化能を失った。 Ⅱ.MOPC315.BMとMM患者の骨髄サンプルより分離したMM細胞(CD138+,CD19-)にOAF(IL-6, TNFα, IL-7, MIP1α)を添加した結果、IL-34が顕著に誘導された(qPCR, ELISA)。これより骨髄ニッチ内でOAFによりMM細胞がIL-34誘導を受け、破骨細胞分化に寄与する事が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスMM細胞につき、移植モデルと自然発生モデルを用いて、IL-34の発現性ならびに破骨細胞分化誘導能を示した。ヒトMM細胞についてはCell line系を用いて、マウスMM同様の作用を示すとともに、MM患者骨髄の臨床サンプルからMM細胞と対照のリンパ球B細胞をFACS分取し、MM細胞の有意なIL-34発現性を解明すると共に、臨床情報解析から、ヒト臨床病態においても骨破壊病変とIL-34が関連することを示した。これらを論文にまとめ、2018年3月に雑誌へ投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
MM細胞の破骨細胞分化促進にかかる詳細な分子機構を解明すること。さらに骨髄臨床サンプルを細胞間マトリックスを併せた3D共培養(Ex vivo 骨髄組織構築)により、IL34の作用機序を証明することを後二年間の目標とする。
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Research Products
(3 results)