2019 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of circ/miRNA in malignant lymphoma
Project/Area Number |
17K09914
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田川 博之 秋田大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30373492)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | miRNA / circRNA / malignant lymphoma |
Outline of Annual Research Achievements |
circRNAは環状のnon coding RNAであり、miRNAを相補配列に「吸着」して発現異常をおこさせる。 平成28年度(2016年度)からのcircRNAスクリーニングによって得られたいくつかのcircRNA候補を同定した。 平成30年度(2018年度)は、予測プログラムやmiRNA発現解析を用いて、候補circRNAに吸着されるmiRNAを推定し、腫瘍細胞維持に与える影響について検討した。また腫瘍維持に中心的な役割を担う治療標的になりうる候補分子について、circRNAの標的miRNAを組み込んだB細胞リンパ腫の腫瘍細胞を使用して下流蛋白発現変動、アポトーシス、細胞周期の変化を検討した。 平成31年度(2019年度)は、50臨床検体のcircRNA定量測定を行い、検体の蓄積されたデータに基づきcircRNAの発現を検討した。研究代表者はB細胞リンパ腫で発現が低下するcircRNAとして、circ-MTO1 (hsa_circ_0007874)を同定した。また令和元年(平成31年度、2019年度)には、circ-MTO1はmiR-17、miR-20を吸着することが明らかにした。したがって、同circRNAの発現低下は、miR-17、miR-20の異常な発現上昇を引き起こすと考えられた。これらの発現上昇は、B細胞リンパ腫において13番染色体q31(13q31)のゲノム構造異常(ゲノムコピー数の増幅)によっても生じるが、circMTO1の発現低下症例は13q31のゲノム増幅を生じていなかった。つまりcircMTO1の発現低下と13q31の増幅は「互いに相補的、mutually exclusive」な関係であった。miR-17、20の発現上昇の伴い、その標的蛋白であるPTENは発現が低下することも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画: 研究代表者は小分子RNAであるcircRNA/miRNAの研究を主にB細胞リンパ腫の細胞株と臨床検体を対象に行なっている。 現在circMTO1の強制発現の実験をBリンパ腫細胞株に対して行なっており、その結果PTENの発現が回復することを見出しつつある。これらの検証にあと一年程度かかることが予想される。よって3年以内で終了予定だったが、1年期間を延長して実験を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
B細胞リンパ腫におけるcircRNAの研究は、症例などを追加して実験を行い、R2年度内に研究が終了する見込みが立っている。この研究に対する経費は令和2年度で全て使い切る予定になっている。ただし、コロナウィルスの影響で実験が容易でない環境下にあり、残りの実験をなんとか終わらせたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、より多い臨床検体を用いたcircRNAの発現検討を行うことと、より詳細なcircMTO1の強制発現の実験をリンパ腫細胞株に対して行う必要が生じたためである。 研究費の使用計画であるが、臨床検体のPCRプローブ、circMTO1の強制発現を行った場合のアポトーシス、細胞周期、細胞老化アッセイなどの実験に要するキット等の消耗品の購入費、統計解析ソフトウエアの月額使用料等に使用する。
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