2018 Fiscal Year Research-status Report
Optimization of treatment for multiple myeloma with HDAC inhibitors
Project/Area Number |
17K09916
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 陽一 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10345209)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 多発性骨髄腫 / 抗体療法 / HDAC阻害剤 / NKG2D / IKZF1 / MICA / ADCC / AKT |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究で明らかになった、HDAC阻害薬処理による多発性骨髄腫細胞株のNKG2DリガンドMICAの発現上昇についてその分子メカニズムを解明した。 IMiDs (immunomodulatory drugs)はcereblonと結合して標的分子であるIKZF1のpolyubiquitin化・プロテアソームによるタンパク質分解を誘導して抗骨髄腫効果を示す。我々はHDAC阻害でIKZF1のmRNAが低下し転写レベルで発現が抑制されることを見出した。IKZF1はMICA発現のnegative regulatorであることが知られており、HDAC阻害によるIKZF1 IKZF1の発現低下を介してMICAの発現が増強する可能性が示唆された。HDAC阻害薬は抗CD38抗体であるdaratumumabに加えて抗SLAMF7抗体elotuzumabのADCC活性を増強した。 GenomicScape (http://www.genomicscape.com/)解析でTotal Therapy 2/3で治療された414症例でMICAの高発現例は低発現例に比べて生存率が有為に高く、MICAの発現誘導で骨髄腫の予後が改善される可能性が示唆された。 HDAC阻害薬、AKT阻害併用はc-MYCの低下を介して相乗的に抗骨髄腫効果を示した。 HDAC阻害によりマクロファージによる貪食阻害に重要なCD47の発現低下を認めた。また、CD47の低下は、AKT阻害薬併用で増強した。 cereblonノックダウンでレナリドマイド耐性を獲得した細胞株に対してもHDAC阻害薬やAKT阻害薬の併用は相乗効果を示した。これらの細胞株でMICAの上昇、IKZF1の低下を認め、HDAC阻害薬はcereblon非依存性にIKZF1低下やMICA増強を誘導することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
HDAC阻害薬はプロテアソーム阻害薬・IMiDsと異なる作用機序でこれらの薬剤抵抗性の症例にも奏功する可能性が期待される。今年度の研究により、HDAC阻害薬処理による多発性骨髄腫細胞株のNKG2DリガンドMICAの発現上昇の分子メカニズムが明らかとなった。さらに、複数の抗原に対する抗体療法においてHDAC阻害薬による免疫賦活化が明らかとなり、HDAC阻害薬と抗体薬の併用という新しい治療法の開発につながる成果と考えられる。HDAC阻害薬がcereblon非依存性にIKZF1低下やMICA増強を誘導する知見はIMiDs抵抗性の症例に対するHDAC療法の有効性を示唆する。 今年度の研究ではHDAC阻害薬の中でも汎HDAC阻害薬に加えてHDAC6阻害薬でもMICAの発現上昇を介した免疫の賦活化が示された。再発難治骨髄腫の治療として汎HDAC阻害薬のpanobinostatがボルテゾミブ・デキサメタゾンとの併用(FVd療法)で実臨床に導入された。FVd療法はボルテゾミブ投与歴を有する症例でも有効な場合があるが、重篤な副作用により投与継続が困難となることが多い。panobinostat の一標的であるHDAC3は筋肉の糖代謝で重要な役割を果たす(Hong et al., Nature Medicine 2017)。PanobinostatはIC50 数nMと強力にHDAC3を抑制することから重篤な疲労感などの副作用につながる可能性が考えられる。HDAC6阻害薬はHDAC3の阻害強度がIC50数十nM で、HDAC3抑制に伴う副作用が少なく高い治療効果が得られる可能性が期待される。 本研究の成果を基に低分子化合物を利用して抗腫瘍効果・免疫賦活化を同時に実現してCAR-T療法などの細胞療法よりも安価にdouble refractory症例に有効で副作用の少ない治療法の確立を目指す。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果で得られた知見について、ヒト臨床検体を用いて同様に解析を行う。特に、レナリドミドに耐性の症例を含む難治性の症例検体を当院、日本赤十字医療センター、NTT東日本関東病院、日本医科大学病院などから収集し解析する。臨床検体の収集・及び解析については当施設で倫理申請を行い承認されている。 抗体とHDAC阻害剤の併用効果をin vivoで評価するため、骨髄腫マウスモデルでの評価系の確立を目指す。ADCC活性の検討のため、免疫系を含むヒト造血組織を再現したマウスでヒト骨髄腫を再現したマウスモデルの作製を試みる。新生児期にNOGマウスに健常人由来CD34陽性細胞と症例由来骨髄腫細胞を移植する(Ishikawa et al., Blood 2005)。樹立されたマウス骨髄腫モデルを用いてHDAC阻害剤と抗体の併用療法の効果について検討する。NOGマウスは補体活性を欠失しており、CDC活性の解析は骨髄腫細胞株をSCIDマウスに移植するxenograft mouse modelで解析する。 これまでの研究成果について論文発表を行う。
|
-
-
[Journal Article] Nested polymerase chain reaction with specific primers for Mucorales in the serum of patients with hematological malignancies.2019
Author(s)
Hirano M, Ota Y, Koibuchi T, Takei T, Takeda R, Kawamata T, Yokoyama K, Uchimaru K, Yotsuyanagi H, Imai Y, Tojo A.
-
Journal Title
The Japanese Journal of Infectious Diseases
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Open Access
-
[Journal Article] Clinical impact of serum soluble SLAMF7 in multiple myeloma.2018
Author(s)
Ishibashi M, Soeda S, Sasaki M, Hand H, Imai Y, Tanaka N, Tanosaki S, Ito S, Odajima T, Sugimori H, Asayama T, Sunakawa M, Kaito Y, Kinoshita R, Kuribayashi Y, Onodera A, Moriya K, Tanaka J, Tsukune Y, Komatsu N, Inokuchi K and Tamura H.
-
Journal Title
Oncotarget
Volume: 9
Pages: 34784-34793
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-